2024年04月27日( 土 )

未開発状態の日本の医療ツーリズム:東京オリンピックを発展のチャンスに(前編)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、10月6日付の記事を紹介する。


 2020年の東京オリンピック・パラリンピックまで、あと3年。小池百合子都知事の采配が期待されていますが、突然の衆議院解散・総選挙の流れを受け、国政政党を目指す「希望の党」の党首も兼ねることになりました。そうなると、「二足の草鞋を履く」ことになり、果たして東京オリンピックや築地市場の移転問題などが、中途半端になるのではないかと懸念されるようになりました。「機を見るに敏」との見方もありますが、「移り気過ぎる」のではないでしょうか。後々大きな問題になるかも知れません。

 とはいえ、そんな永田町発の解散劇とは無関係に、近年、わが国を訪れる観光客の数は鰻登りです。日本経済にとっては頼もしい限り。そこで、日本政府は東京五輪の機会に4,000万人の外国人観光客を呼び込もうと、「ビジット・ジャパン計画」などを通じて積極的な誘致合戦を展開中。世界の観光大国フランスは年間6,000万人を超える観光客を惹きつけており、政情不安と言われるトルコですら5,000万人を呼び込んでいるわけで、「安全・安心なおもてなし」が売り物の日本にとって4,000万人の目標は決して達成困難ではないはずです。

 ちなみに、2015年に外国人観光客が日本で消費した金額は過去最高の3兆4,771万円でした。とはいえ、これだけ多くの外国人が日本を訪れるのですから、彼らが安心して日本滞在を満喫できるような、他では体験できないような「おもてなし」の種類や質を拡大向上させる必要があることは言うまでもありません。

 その意味でも、日本の受け入れ態勢には改善の余地が多分にあります。中でも訪日外国人にとって「最大の悩み」とも言われるのが医療の分野でのコミュニケーションでしょう。すなわち、病気や怪我をした場合に、日本の医療機関において必要な意思疎通が十分に行われていないという切実な問題が未解決のままなのです。

 人は国籍や人種に関係なく風邪を引いたり、食あたりになったりするわけですから、安心して医療サービスを受けることのできる体制整備は欠かせません。2020年の東京オリンピックの期間中だけで、45万人程度の外国人観光客が日本で医療サービスを受ける事態に直面するとの大手保険会社の予測もあるほどですから。

 一方、最近では、日本が誇る最先端の医療技術の恩恵を受けるために、海外の富裕層と言われる人々が相次いで来日するケースも出てきました。いわゆる「メディカル・ツーリズム」です。海外の医療機関で見放されたような重篤な患者が「最後の頼み」として来日するようなケースが少しずつ増えています。日本政策投資銀行の試算では、2020年の医療ツーリズムの市場規模は5,500億円に成長する可能性があるようです。

※続きは10月6日のメルマガ版「世界最新トレンドとビジネスチャンス」第83回「未開発状態の日本の医療ツーリズム:東京オリンピックを発展のチャンスに(前編)」で。


著者:浜田和幸
【Blog】http://ameblo.jp/hamada-kazuyuki
【Homepage】http://www.hamadakazuyuki.com
【Facebook】https://www.facebook.com/Dr.hamadakazuyuki
【Twitter】https://twitter.com/hamada_kazuyuki

 

関連記事