美談の裏で─ライオンズクラブ337-A地区と朝倉災害支援─（7）

　未曾有の豪雨により被災した朝倉市立松末小学校（2018年3月廃校、被災がなくとも廃校が決まっていた）は公立校である。つまり、朝倉市および教育委員会や教育課などがマネジメントしていたことになる。

　同校校庭内敷地や校舎および施設は、同市の資産である。たとえ同校体育館の床改修工事の実施が、地域の方々による切実な願いだったとしても、簡単に了承される訳ではない。地方自治体には予算があり、地方自治体法による規制もある。民意は理解できるものの、自治体としてできることは、限定されるケースがある。今回のケースは、その一例であり、同校体育館の床改修工事を施工する予算が朝倉市になかったので、公共工事にはならなかった。今一度、この点を頭に入れておいてほしい。

　それでも「何とか同校体育館の床をきれいに整備して最後の卒業式、そして閉校式を迎えさせてあげたい。小学校最後の思い出を残してあげたい」という一心で、地域の方々は奮闘した。

　そんななか、LC337-A地区から「松末小学校体育館の床改修工事の支援をさせていただく」とする旨の申し出があったと朝倉市教育課の関係者は語る。朝倉市側から依頼したのではなく、LC側からの打診だったという。「LC337-A地区様から“ぜひとも支援させていただきます”という申し出がありました。残念ながら市は、予算上改修工事代金を捻出することが不可能でした。“それでは、地域の方々、生徒さんたちが不憫です”となり、LCさんが支援していただくことになったのです」（朝倉市教育課関係者）。

　LC337-A地区が同校体育館の床改修工事に名乗りを上げ、支援したのは崇高な行動である。しかし、どのような過程でLC337-A地区が支援することになったのか、また床改修工事の施工会社が決まった過程や理由については明らかになっていない。

　同市の教育課担当者に取材したが、「こちらは寄贈された側なので、LCさんが寄贈を決めた理由や施工会社の選定などについての詳細は、存じ上げません。こちらは、ご厚意をあり難く受けた側ですので」という回答だった。

　福岡県下のある建築士は「小学校の体育館の床を改修する工事なので、規模によって異なりますが、当該の松末小学校体育館の規模なら1,000万円は、超えるでしょうね」と語る。

　ここで金額の多寡について断じることはできないが、「松末小学校体育館床改修工事を寄贈する経緯や施工会社の選定について明らかになっていないことが多い。つまり、なぜ337-A地区が支援することになったのか？そして施工する企業の選定について、誰がどのように決定したのか？事後でわかったが、地区全体の資金を使う時は、その理由や過程について事前に明示すべきではないでしょうか？」とLC337-A地区内に属するクラブメンバーの1人は話す。はたして本件は、対策本部内で協議され決定されていたのだろうか？

（つづく）
【河原　清明】