美談の裏で─ライオンズクラブ337-A地区と朝倉災害支援─（12）

なぜ工事経歴書に記載されていないのか？

　ライオンズクラブ（以下LC）337-A地区からの朝倉市立松末小学校体育館床改修工事の寄贈をめぐり、同工事を施工したとされる企業がLC-337A地区から「発注された」同校体育館床改修工事についての工事経歴を明記していないという情報が入った。

　この件についても、施工したとされる企業に11月22日付けで質問書を送り、12月2、3日の両日、電話で問い合わせたが、「担当者不在」ということで明確な回答を得られなかった。

　同校体育館の床改修工事については、朝倉市への情報公開請求に基づき同市側から公開された資料の1つである「工事設計書」（工事費用が“試算”された書簡）によると松末小学校屋内運動場（＝体育館）改修、工事金額 1,791万4,978円となっており、その金額を基に施工された。そして、同市市長名（当時）の氏名で、LC337-A地区のガナバー（当時）宛の確認書のなかで、「松末小学校体育館の改修工事に当たっての市の確認事項」として

　1：松末小学校は、市の施設であり、改修は市の財産の取得又は処分に関する事項に該当するものである。今回、ライオンズクラブが行う工事については了承し、竣工後、市は、寄贈を受けるものとする。
　2：工事の実施に当たっては、朝倉市の建築技術職員が施工監理に当たるものとする

と明記されている。つまり、LC337-A地区から同市へ寄贈された工事ではあるが、その後も市の施設であることを同市は宣言している。さらに、施工監理は市も関与すると明言している。

　このように、市の施設の工事であるにも関わらず、同工事を施工したとされる企業の福岡県朝倉県土整備事務所名の平成31年3月5日付、福岡県土整備事務所名の平成31年3月12日付の検印が押された、変更届書内（事業年度平成29年12月1日から平成30年11月30日）の工事経歴書に同工事が記載されていなかった。

　同校床改修工事の施工を行ったとされる企業の工事経歴書には、請負代金額2,193万5,000円の次に、860万2,000円の工事が記載されている。本来なら注文者がLC337-A地区で請負代金額1,791万4,978円前後の記載があってしかるべきである。

　なぜならば、国の定めとして工事経歴書の記載は、「請負代金の大きい順に記載」と定められている。よって、同校床改修工事が記載されていることが、本来のあるべき工事経歴書だろう。

　もしくは、後に860万2,000円未満の請負金額となったのか？そうだとしたら、同市の工事設計書の「試算」が杜撰だったことになる。それとも、同校床改修工事の施工を行ったとされる企業が自社にて工事費用を全額負担し、同市へ寄贈したのか？そうであれば、LC337-A地区の寄贈ではなく、同校床改修工事の施工を行ったとされる企業からの寄贈となるのが正しい。だが、同市はLC337-A地区からの寄贈と公言しているので、同校床改修工事の施工を行ったとされる企業からの寄贈ではない。

　なぜ工事経歴書に記載されなかったのか？明確にできない理由があるのか？

（つづく）
【河原　清明】