2024年04月29日( 月 )

「我が世の春」も終わりか、スーパーゼネコン5社が減収減益(後)

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 5月14日、鹿島建設が決算発表を行い、上場スーパーゼネコン4社の決算が出そろった。竹中工務店(12月決算かつ非上場)を含めた5社は軒並み減収減益となり、受注高も減少。オリンピック関連の工事が完了したことや、コロナ禍で海外工事が減少したことなどが要因となっている。依然として繰越工事は増加傾向にあり、大都市での再開発などを筆頭とする大型工事が増加していることがうかがえる。今期は5社とも過去6年間で最低の利益額を予想。いずれも、「競争環境の激化」を懸念材料として挙げている。5社の直近決算を見てみよう。

【大成建設(株)】今期は20年3月期比で利益半減へ

 21年3月期は都内の再開発などにより、売上高1兆4,801億円(前期比15.5%減)、経常利益1,359億円(同21.6%減)、最終利益925億円(同24.2%減)を計上。土木事業の利益率悪化などから、減収減益となった。同期の受注高はシンガポールの地下鉄工事や南摩ダムなど土木工事が堅調だったが、海外建築工事の減少により、1兆6,506億円(同1.8%減)とわずかに減少した。

 次期繰越高は土木・建築ともに前期から増え、2兆5,494億円(同7.2%増)と高い水準。今期は売上高1兆6,400億円(同10.8%増)、経常利益9,300億円(同31.6%減)、最終利益6,300億円(同31.9%減)を予想しており、20年3月期と比べ、利益が半減する見通し。新型コロナウイルス感染症が収束に向かえば、民間投資は徐々に回復していくと見ているが、「厳しい競争環境が継続する」としている。中計(21~23年)では、23年3月期に売上高2兆円、営業利益1,400億円、最終利益1,000億円を目標数値に掲げている。

大成建設
大成建設

【鹿島建設(株)】今期は大台2兆円復活も減益予想

 21年3月期は「OtemachiOne」や「東京ポートシティ竹芝タワー」などの大型プロジェクトの完工により、売上高1兆9,071億円(前期比5.2%減)、経常利益1,397億円(同4.7%減)、最終利益985億円(同4.6%減)を計上。土木工事の完工高は増加したが、主力の建築工事が落ち込んだことから、減収となった。コロナ禍の影響は「軽微なものにとどまった」といい、実績は予想を上回った。受注高は北米や東南アジアでの受注が減少したことから、前期比1.9%減の1兆7,201億円となった。国内では「(仮称)Kアリーナプロジェクト」(横浜市)や都内の再開発などを受注し、前期比6.4%増の1兆3,298億円だった。

 森ビルの虎ノ門1・2丁目の再開発をはじめとする次期繰越高(単体)は、1兆8,691億円。土木・建築工事ともに官公庁工事が減少したが、民間が牽引し、前期比4.2%増となった。

 今期は売上高2兆100億円(前期比5.4%増)、経常利益1,140億円(同18.4%減)、最終利益800億円(同18.8%減)を予想。大型工事の本格化により増収となるが、竣工物件の減少により減益となる見通し。24年3月期までの中計では、最終期に売上高2兆2,500億円、最終利益950億円以上を目標に据えたほか、31年3月期には1,300億円~1,500億円の最終利益の確保を目標とした。

鹿島建設(株)
鹿島建設(株)

(了)

【永上 隼人】

(前)

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