2024年04月29日( 月 )

スーパーゼネコン襲う「原価高騰」(前)

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 11月11日までに竹中工務店を除くスーパーゼネコン4社の中間決算が出そろった(竹中工務店は12月決算かつ非上場)。建設投資は高水準が続いていることから、各社とも軒並み増収をはたした。利益面では上期に大幅増益を計上したところもあった一方、通期では鹿島建設を除く4社が過去最低水準となる見通し。受注は依然として好調に推移し、工事の進捗も順調ではあるが、工事原価の高騰や販管費の上昇に悩まされている。スーパーゼネコン5社の中間決算および通期予想の状況を見てみよう。

清水建設(株)
増益も利益率は低下

福岡大名ガーデンシティ
福岡大名ガーデンシティ

 2023年3月期中間は売上高8,259億円(前年同期比27.9%増)、経常利益142億円(同11.4%増)、当期利益112億円(同5.9%増)を計上。完成工事高および開発事業などの売上高が増加したことから、中間決算としては前年同期比で大幅な増収増益となった。関連会社だった日本道路(株)を連結子会社化したことも収益を押し上げた。通期の業績予想は据え置き、前期比で大幅増となる見通しだが、前々期比ではマイナス予想となっている。利益率では前期比減となるほか、低下傾向にあった21年3月期と比べても半減したかたちとなった。

 中期経営計画で掲げた非建設事業の強化方針に基づき、今秋にはオフィスや物流施設でポートフォリオを構成する私募リートの運用開始が予定されており、保有物件の売却による収益確保が期待されている。

 福岡市では、約30億円を投じた自社開発の物流施設「エスロジ福岡空港」を完工したほか、旧大名小学校跡地の大規模再開発「福岡大名ガーデンシティ」の施工を手がけている。

清水建設 決算

(株)大林組
通期予想2兆円は維持

(仮称)天神一丁目北14番街区ビル
(仮称)天神一丁目北14番街区ビル

 23年3月期中間は売上高9,243億円(前年同期比2.8%増)、経常利益486億円(同110.2%増)、当期利益384億円(同103.8%増)を計上。海外建設事業および不動産事業が好調だったことから増収をはたしたほか、前年同期は複数の大規模工事で工事損失引当金を計上していた反動もあり、大幅増益となった。

 受注高の持ち直しなどから、期初は通期の売上高2兆500億円、経常利益は1,040億円を予想していた。しかし、建設物価が想定以上に上昇したほか、資機材の納入時期の遅れなどによって、期末の工事進行割合見通しが想定を下回ること、さらに人材関連・デジタル関連投資が期初想定値を上回ることなどにより、下方修正。売上高2兆450億円、経常利益940億円とした。売上高は20年3月期以来の2兆円台となる見通しだが、利益率は同期比3ポイント以上低下するなど、採算性の低下が顕著となっている。

 今期からは営業利益1,000億円をボトムラインとする新たな中期経営計画に取り組み、5年間で環境配慮型ビルや物流施設といった開発事業に3,000億円を投資していくとしていた。福岡市では、日本生命と積水ハウスが開発する「(仮称)天神一丁目北14番街区ビル」の施工を手がける。

大林組 決算

(つづく)

【永上 隼人】

(後)

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