2024年04月19日( 金 )

王将FS、公表された過去の不適切取引

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money (株)王将フードサービス(本社:京都市、渡邊直人社長。以下王将FS)は3月29日、2013年に発生した当時の同社社長・大東隆行氏の射殺事件をめぐり設置した第三者委員会の調査報告書を公表した。第三者委員会は同社と反社会勢力とのつながりについて調査するために2015年に設置された。今回の報告で反社会勢力とのつながりを否定したものの、経済合理性の明らかではない多額の取引が過去になされていたことが判明した。

 調査報告書は、王将FSと100%子会社の(株)キングランドが、創業家と深い関係にあるとされるA氏とA氏に関係のある企業グループ(Bグループ)との間で経済合理性が明らかではない不適切な貸付や不動産取引などが行われていたと指摘。王将側から合計200億円が流出し、170億円が回収不能になっていたことが明らかにされた。王将FSは30日、回収不能となった170億円について、2006年9月までにすべて処理済みで、当期以降の決算に影響を与えることはないと強調した。

 一方、不適切取引が明らかになったことで、30日の王将FSの株価は前日比-700円の3,500円(ストップ安)、昨年来安値を更新した。

 以下、報告書が指摘した不適切取引を挙げる。以下、表記にあるA氏とはB1社代表でBグループと関係のある人物。B1~B7社がBグループを構成しており、B1社はゴルフ場運営、B2社は電話保守を行っている。B3~7社はそれぞれBグループに属する企業で詳細は明かされていない。


1:戎橋店の土地建物購入手数料の支払い(転借物件で営業していた王将戒橋店で1988年に従業員の失火により建物所有者らが死亡した。遺族への慰謝料などとは別に、王将FSはA氏に土地建物の買収交渉を依頼、土地建物の代金として9億円、買収工作資金としてA氏に1億円支払った。支払いについて取締役会の承認は得ていない)

2:祇園の不動ビルの購入(1995年3月、王将FSは京都市東山区のスナックなどが入居する5階建ての不動ビルをB3社から5億3,000万円で購入。取締役会の承認を受けておらず、また、経済的合理性も不明確。王将FSは2006年9月、第三者に同ビルを8,000万円で売却している)

3:ハワイの土地建物の購入(1995年4月、王将FSはB4社からハワイの高級住宅街にある住宅の土地建物を18億2,900万円で購入。同年9月、王将FSの100%出資子会社であるキングランドに同土地建物を売却。取締役決議を経ているが、購入理由や取得経緯、経済合理性は示されなかった。キングランドは2003年7月、第三者に同土地建物を5億9,800万円で売却している)

4:伏見店隣接土地の買付資金の交付(1997年9月、王将FSはB5社に伏見店の隣接土地の買付を委託、買付資金として合計33億円を交付した。買付資金については取締役会の承認や稟議が存在していない。買付は実現せず、33億円も返還されないまま、ほかの用途に流用された)

5:キングランドを通じたB1社への貸付(1998年4月から9月までの間、王将FSはキングランドを通じてB1社に5回にわたり合計185億円を貸し付けた。98年9月までに95億4,000万円は返済された。取締役会決議がなされているものの、貸付の理由、金額、条件などについて記載がなく、経緯が明らかではない。王将FSは2002年3月期に44億8,100万円の貸倒引当金を計上、05年9月には貸金残高40億8,800万円を全額債権放棄している。)

6:福岡・赤坂のビルの購入(2000年8月、王将FSはB5社から福岡市中央区赤坂のオフィスビルを12億3,700万円で購入。購入代金のうち8億5,700万円はキングランドのB1社に対する貸付金債権と相殺する方法で支払われた。購入について取締役会決議がなされていたが事後承認だった。同ビルは02年3月にB6社に5億2,000万円で売却している。)

7:前渡金(1998年9月末、王将FSは仕入先業者に対して仕入れにかかわる前渡金10億円を振り込み、仕入れ先業者は振り込まれた金員を王将FSにただちに返金した。ところが王将FSは前渡金を計上し続け、返金された10億円は行方が不分明とされている。前渡金を仕入れ業者に振り込む直前、王将FSはキングランドに対し仮払い勘定で25億円を振り込み、キングランドは同金員を創業一族である加藤欣吾氏の口座に振り込んでいる。98年9月末までに残額返金されているが、先述仕入れ業者が返金した前渡金10億円が返済に充てられた形となっており、当初仮払金勘定で支出された25億円のうち10億円の行方が分からなくなっている。前渡金の支払いなど一連の資金移動について取締役会決議はなく、合理性も明らかになっていない。)

8:ゴルフ会員権の購入(1999年4月、王将FSはB1社のゴルフ会員権10口を2億7,100万円で購入している。購入に際し、取締役会の承認や稟議は存在していず、経済合理性も不明。2006年7月、王将FSはB7社に同会員権を2,000万円で売却した)

9:B1社のホテル棟の購入(2000年3月、王将FSはB1社とB5社から、ゴルフ倶楽部のホテル棟を31億円で購入した。購入代金のうち26億2,400万円はキングランドのB1社に対する貸付金債権と相殺。同売買契約には06年3月31日までに売買価格以上の価格で買い戻す旨の特約が付されていたが買戻しは実現していない。購入について取締役会決議がなされているが、取締役議事録には取得経緯や経済合理性は明らかにされていない。00年3月、王将FSはB1社に月額500万以上で賃貸する賃貸借契約を締結した。05年3月、王将FSはB7社に同土地建物を7億7,000万円で売却した。05年3月時点でB1社の未払い賃料は1,900万円にもぼっていたが、王将FSは債権を放棄している。

10:ヘルスケアー原鶴の購入(2000年3月、王将FSはB5社から福岡県うきは市の「ヘルスケアー原鶴」の建物を4億円で購入した。同購入について、取締役会決議はなされたが、取得経緯や経済合理性は明らかにされなかった。05年3月、王将FSはB7社に同土地建物を5,000万円で売却している)

11:B1社クラブのゴルフ場隣地の購入(2000年9月から11月にかけて、王将FSはB5社からB1社クラブの隣地・福岡県甘木市を合計27億9,100万円で購入した。購入代金のうち6億4,000万円はキングランドのB1社に対する貸付金債権と相殺する方法で支払われた。この売買契約には2006年3月までに王将FSに損が生じない価格で買い戻す旨の特約が付されていたが買戻しは実現していない。取引について一部取締役会決議がなされているが、取締役会議事録には「貸付額回収策」とあるのみで、また実際の取引の間にも祖語が見られ、取得経緯や経済合理性は不明。)

12:養鶏場土地購入(2000年10月、王将FSはB5社から養鶏場施設の土地(福岡県朝倉郡三輪町)を3億5,000万円で購入した。購入については取締役会決議がなく、取得経緯や経済合理性は明らかではない。06年3月、B7社に同土地を5,000万円で売却した。)

13:福岡・高宮のマンション購入(2000年9月、王将FSはB5社とB7社から福岡・高宮のマンションを合計2億2,000万円で購入した。同購入については取締役会決議がなされているが、取得経緯や経済合理性は明らかでない。01年2月と03年3月に王将FSはB6社に同土地建物を合計7,000万円で売却した。)

14:雲仙旅館の購入(2001年4月、王将FSはB5社から雲仙旅館の土地建物(長崎県南高来郡古浜町雲仙)を合計20億円で購入した。購入代金のうち12億6,000万円は前述伏見店隣接土地の買付資金としてB5社に交付していた金員が充てられた。同購入について取締役会決議がなされているが、取得経緯や経済合理性は明らかではない。03年3月、王将FSはB5社に同土地建物を合計2億8,700万円で売却している)

 

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