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2018年有為転変~人間の尊厳・企業の尊厳

【2018年1月1日 07:00】


人間が種の保存意識を忘れた?

 有為転変とは『激しく移り変わるのがこの世の常』という意味である。それを体現する極限として、自然気象と人間が引き起こす戦争が挙げられる。近々懸念される南海トラフ地震の発生で、日本の太平洋側では最悪50万人の死者を出す被害が起きると見られている。戦争では、北朝鮮の暴走による偶発的な核戦争の勃発が想定される。控え目な試算でも100万人の犠牲者が出るとも囁かれている。

 ところが現在、自然災害・戦争の被害をはるかに上回る激変が進行している。『人間が種の保存意識を忘れた・希薄になった』傾向が顕著になったのである。日本だけでの流れではないのだ。資本主義や社会主義など、政治体制に関係なく、経済発展がある程度のところに達すると子どもつくりの意識が希薄になり、出生数が減るのである。10年もこの出生数減が定着するとそれぞれの国家では社会問題になってくる。

 日本における2017年の出生数と死亡数の予想が発表された。出生数は2年連続100万人割れの94万1,000名、死亡者数134万4,000名となるそうだ。そうなると出生・死亡数で比較する自然減は40万人を超える。久留米市をしのぐ都市が毎年消滅することを意味する。筆者は一度、日本人の人口減少傾向を見立てたことがある。見立てが甘かった。その見立ての基礎となっていた出生数100万人台が意外とあっさりと割られたのである。

 死亡数は鰻登りに増える。概算すると2030年には死亡者数200万人に達して出生数80万人となり自然減が1年で120万人となる。1年で宮崎県規模が消えることを意味するのだ。東京都も当然、人口減から免れない。2030年時点で人口1億1,000万人台割れが間近に迫っている。そうなる国力の衰退、国内市場の縮小、地方自治体の崩壊が予想される。生産性を高めるシステムを導入するなどあらゆる手立てを講じないと、国民の生活水準の維持は不可能だ。

AIを含む科学水準の発展で別次元の社会へ移行

 「人間の寿命が無限に伸びる。100歳に到達するのは当たり前」の時代がすぐそこに近づいている。身内・友人たちとの死別が1分でも延期されることだけが幸せなのか!!健康で人生が楽しむことができればハッピーである。寝たきりの生かされた状態では嬉しくはないであろう。100歳でも十分にエンジョイできる資金を抱いていれば不安はない。しかし貧困状態の高齢者もたくさん存在しているであろう。国家が最後まで面倒を看るとはとても考えられない。

 AIの進化はすべての業種に激変変革を迫る。たとえば現在は尊敬されている医師業である。診断をAIが下すようになる(近い将来、実現可能)。診断=見立ての能力を取り上げられたならば、医師の仕事はただの治療処置業務になってしまう。看護師業務との垣根が薄くなる。たとえば外科で「神の手」といわれるような、限定された医師しか今までのような尊敬の念を抱かれなくなるであろう。専門職を貫いて人間の尊厳を保持できるようになるには、今までの10倍以上の努力が必要となってくる。

 金融機関の根底からビジネスモデルが揺さぶられている。金を預かり融資をして利鞘を稼ぐ旧来の金融業のパターンが崩壊の淵にある。利幅が薄くなれば人員整理が迫られる。AIの利点を活用して手作業部門を減らすとなると、行員総数の40%は必要なくなる。首になるのだ。一度、大手企業に入社できれば「我がビジネス人生万歳」とはいえなくなったのだ。経営する側も大事である。IT技術を理解して経営に活用するには至難の業、専門家に丸投げでは問題解決にはならない。勉強するしか方策はないのである。

労働からの解放からの時代がやってくる。幸か不幸か

 AI化が徹底すると、優秀な3分の1の人間たちが働けば世の中は廻っていくような時代が近々、訪れる、見方によって襲ってくるそうだ。たしかに実感はできる。尊敬される医師の立場が危うくなること、金融機関の従来パターンでは経営基盤が瓦解の淵にあることを目撃すれば、感度のある人たちであれば誰でも予想はつくであろう。そうなると一般人、平凡な人間にはどういう将来が待ち受けているのか?

 社会科学的にいえば「労働からの解放で極限の自由溢れる社会で暮らせる」とか、仏教用語でいえば「差別のない極楽往生の世界で楽しく暮らせる」とか。しかし実際このような次元の世界で万民が過ごせるのか!!仕事にあぶれた=(いや労働から解放された)一般人も、生活するためには銭がいる。3分の1の人員で経済が廻る事態となれば、一般人へ経済的保証が不可欠だ。現在、研究され実行されようとする概念が『ベーシックインカム』というものだ。

 すべての人たちに、無条件に生活保障費を提供するという取り決めで、日本語では『基本所得』と呼ばれる。現在の生活保護費とか失業給付金などには条件がある。たとえば生活保護費受給者は、労働して対価を得ている事実が判明すると、受給が停止されることもあり得る。『ベーシックインカム』の概念は、これとは異質なものだ。「働く意欲があっても職がない、いや働く必要がないから生活対価をもらうのは権利だ」という概念である。ベーシックインカムの給付金を貰っても、働いて稼いでも許容される。社会の常識がチェンジしているのだ。

 ある優秀なビジネスマン(定年まで後2年)と議論した。「では『ベーシックインカム』を支給される方々、労働から解放されて個性を極める豊かな生活を送れる人たちは何割になるか?」と質問した。「1割であろう。几帳面に自我を磨き上げるには強固な意志の実行力が必要だ。自分の場合でも半年は継続できるが、それ以降は怠惰になるであろう。強制力が作用しないと人間という性根は怠惰になるはずだ。あーそうだ!!意志力のある人ならば現役に踏みとどまっているだろうから、このような天国基準の生活を全うできる者は5%だ」という回答を得た。

 労働から解放される時代=3分の2の人たちは働く必要がないと通告を受ける時代は、先進国の一部では30年以内の近未来に実現できるのではないか!!「ベーシックインカム」で最低生活保障費は支給され、多少の稼ぎも自由である。フリーな時間を有効に活用し、はたして万民は己の個性を磨く人生を謳歌するのであろうか!!筆者の拙い見通しは「自殺者数が増えるであろう」である。

 激変する時代。野球選手・歌手などの活躍を論評するのは悪くはない。ファンになることを否定するつもりはない。しかし、一度は、自分自身を主人公に仕立ててみたらどうか。エンターテインメントとして舞台に上がり、話題を提供して批評を受ける身になってみたらいかがかな!!人間の威厳形成の第一歩を踏みだしてみてもらいたい。

 企業経営者も、激変対応のために必死に追い込まれている立場に対しては同情する。この激変時代に、小手先に終始せずに「激しく移り変わる無常な現世」を背景に、不動な企業尊厳を確立できたならば経営は頑強になるはずである。

株式会社データ・マックス
代表取締役社長 児玉 直

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