2024年04月19日( 金 )

「都市デザイン」という視点から住まいづくり・まちづくりに取り組む(前)

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西武ハウス (株)

こだわりの品質で数々の賞を受賞

福岡市中央区長浜にある本社

 西武ハウス(株)は、現代表の豊福清氏が不動産業界で積んだ経験を基に1983年8月に個人事業として創業、85年7月に法人化した不動産総合デベロッパーである。これまで時代の変化の波に飲まれることなく成長を続け、バブル期およびリーマン・ショックを乗り越えた数少ない地場デベロッパーの1社として、高い知名度を誇っている。

 設立当初は、戸建住宅の販売および投資型賃貸マンションの1棟売りなどを手がけていた同社だが、市況の変化に合わせ、87年11月から自社企画の分譲マンションブランド「モントーレ」シリーズの展開を開始。これが同社の躍進の契機となった。同シリーズでは第1号となる『モントーレ地行』を皮切りに、現在までに96棟のマンションを供給している。企業理念に「時代(とき)を越えて残るものを」を掲げており、ブランド名「モントーレ(壁時計・置時計の意)」は、企業理念に由来する。同社は、福岡のデベロッパーとして初めて住宅性能表示制度に対応した分譲マンションを発売するなど、品質へのこだわりが強い企業だ。

 これまでモントーレシリーズを中心に数々の物件を供給してきた同社への業界からの評価は高く、2007年の『モントーレ ブルー・ラ・メールFukuoka』での全国住宅建設産業協会連合会優良団地表彰を皮切りに、同社の物件は数々の賞を受賞。10年には同社代表の豊福氏が、これまでの住宅事業の振興に対して公共の福祉の増進に貢献したとして、国土交通大臣より表彰を受けている。

 社内体制はというと、現在の従業員は30名強で推移しており、営業社員の定着率も高い。もともと成果報酬に重きを置いた営業スタイルが一般的な業界で、同社は長期的に営業を育てる方針を採用してきたからだ。また、14年1月に薬院から現在地に本社を移転した。同地は以前に(株)アキラ水産から取得していた1500坪の土地で、ここに分譲マンション、賃貸マンションと本社を建築した。関連会社には100%子会社で、ビル管理業の(株)ラコルタ・ライフ・サポートがある。

高品質と企画力を武器に売上高100億円を突破

 これまで手がけてきたものの、うち、とくに大型の物件については、「子育て」や「リゾート」「シニア向け」といったユニークなコンセプトを付加した特徴的なマンションを提供してきた。なかでも、13年に完成した『モントーレ ラコルタ ユニバ通り』は、同社の創業30周年を記念したプロジェクト。同物件には介護と医療のソフトとハードを完備し、24時間体制での介護スタッフ常駐と医療機関との連携によるシステムを導入。老人ホームの利用方式とは異なり、所有権方式で資産性の高い住居として注目を集めた。また、17年7月に完成した『モントーレグランシェル』は豊かな自然と都心の暮らしを両立した住環境が最大の魅力。徒歩圏内にスーパーやドラッグストアなどがあるほか、近隣に温浴施設やディスカウントストアもあり、生活利便性の高い住環境を整え、人気を博している。

 このようにクオリティだけでなく、企画力にも優れたモントーレシリーズを数多く供給し、同ブランドの浸透を図ってきた同社は17年2月期決算で、初めて売上高が100億円を突破した。15年には40億円台だったが、16年には60億円台となり、17年についに大台を突破したのである。18年2月期はさらなる増収増益が見込まれており、売上高は116億円を超え、過去最高益を計上する予定だ。増収の要因は、マンション販売が堅調であることに加え、所有していた不動産を売却したこともある。

 浮き沈みの激しい不動産業界では、バランス感覚に優れ、上手に資金を運用する能力が必須である。不動産価格が下がったときに収益物件や開発ができる土地を取得し、価格が高くなったときに売る。スキームとしては単純だが、効果的に利益を確保するにはファイナンスの能力に長けていなければ難しい。緻密な財務戦略とバランス感覚が同社の強みといえるだろう。

(つづく)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:豊福 清
所在地:福岡市中央区長浜3-16-6
設 立:1985年7月
資本金:5,000万円
TEL:092-718-0075
URL:http://montre21.com

<プロフィール>
豊福 清(とよふく・きよし)

 1954年、佐賀県鳥栖市に生まれる。高校卒業後、83年、西武ハウスを創業。趣味は旅行。

(後)

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