2024年03月29日( 金 )

中国経済新聞に学ぶ~高齢者が2.5億人「90後」も貯金を始める(前)

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 2019年全国老齢工作委員会弁公室(全国老齢弁)主任会議がこのほど北京で開催され、中国の高齢化情勢の分析および今年の全国老齢事業の手配が行われた。中国の高齢化レベルは世界でもかなり高く、高齢化が急速に進んでいる段階にあり、60歳以上の高齢者人口は2億4,900万人に達し、全人口の17.9%を占めている。

 しかし、中国の高齢者福祉事業は様々な課題を抱いている。調査研究統計によると、北京市では老人ホームが不足して入居が困難という状況はほとんど見られず、90%の老人ホームにはたくさんのベッドの空きがある状態だ。また、北京市の老人ホームは経営状態が非常に悪く、黒字となっている老人ホームはわずか4%。60%は、投資金の回収に10年以上かかる状態となっている。

 北京大学人口所の喬暁舂教授は、このほど開催された第11回清華シルバー産業フォーラムで、「2016年の時点で、北京市には認可を受けた老人ホームが460軒あり、高齢者約4万1,000人がそこで暮らしている。北京市の戸籍を持つ60歳以上の高齢者数と比較すると、老人ホームで暮らしている高齢者は1.3%にとどまっている。98.7%は、老人ホームではなく、自宅で暮らしていることになる。老人ホームに入居する経済的余裕がないケースもあるかもしれない」とした。

 そして、「北京市の老人ホームの約20%の入居率が20%未満で、50%は入居率が50%未満。空き待ちで、入居率が100%という老人ホームはわずか49軒で、全体の10%にとどまっている。つまり、全体的に見ると、北京市では『空き待ち』という老人ホームは10%にとどまり、残りの90%には空きベッドがたくさんあるということだ」と説明した。

 北京市の老人ホームの料金について喬教授は、「寝たきりの高齢者の場合、事業機関型老人ホームは月額3700元(約5万9,300円)、民営非企業型老人ホームは月額4500元(約7万2,000円)、企業型老人ホームは月額9800元(約15万6,800円)となっている。しかし、北京市の高齢者の年金を含んだ収入の中央値は3833元で、高齢者の50%の収入は中央値以下、70%の収入が5000元以下、80%の収入が6000元以下、90%の収入が8000元以下となっている。つまり、北京の高齢者で1カ月に8000元以上の収入があるのはわずか10%で、その中で、寝たきりで老人ホームに住む必要がある高齢者は15.6%と、同市の高齢者の1.59%にすぎない」と指摘する。

 入居率が100%となっているのは、料金が安い公立の老人ホームというわけではない点は注目に値する。ベッドの利用率だけを見ると、事業機関型、民営非企業型、企業型の老人ホームの間に大きな差はなく、企業型が60%、事業法人機関が52%となっている。

(つづく)


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