「リケジョ」が目指す「寄り添い型」不動産業者～コンフォ

　不動産業「コンフォ」代表の楠理英子氏は、熊本大学工学部で金属を研究した「リケジョ」だ。卒業後は半導体の研究を志望したものの、就職氷河期という名の「壁」に跳ね返されてしまう。
　そこでガラリと路線を変え、不動産鑑定業に就職した。実家が不動産業だったことに加え、幼少期より建築物への関心が高かったのが就職の理由だ。

　結婚を機に一時業界を離れたものの、ある時、アパートを購入したオーナーが計画通りの収益を上げられず苦境に陥っていくのを目の当たりにし、「相談する人がいなかったのが問題では」と感じ、再び不動産業に取り組む決意をした。楠氏は不動産業を通じて「快適な生活を提供する」としてコンフォを創業。目指すのはコンサル型不動産業だ。単なる仲介ではなく、収益計画書の査定や相続に関する事柄など、クライアントの相談者になるのだ。

　現在、不動産業界を取り巻く環境において、空き家問題や投資用不動産の課題が顕在化しているが、利害関係者は「セカンドオピニオン」に話を聞くことが重要だと考えている。
　楠氏は「不動産コンサルティングマスター」など、あらゆる資格を取得し、スキルアップを図っている。通常業務においては自身が理系なので、建築家との打ち合わせやコスト・収益の試算などが苦にならないという。
　昨年からは専門学校で宅建講座の非常勤講師も務めている。試験前はとくに大変だが、「真剣な受験生と触れ合うのは楽しい」と楠氏は語る。

　10月に実施された今年の宅建試験では時代が変わったことを痛感した。楠氏は「過去問をひたすらとけば良いという時代は終わった」とし、今後、受験する人へ「テキストを隅々まで字面を映像でイメージできるまで読み込むことが必要」だとアドバイスする。
　楠氏は「不動産を通じて幸せになるひとを1人でも増やしていきたい」と、これまでにない不動産業者を目指している。