2024年03月29日( 金 )

旭化成工業延岡桃源郷~旭化成建材手抜きに驚愕(3)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

社会的信用を失うデータ流用問題、杭工事事業撤退の可能性は?

 横浜市の傾斜マンション問題を皮切りに、全国各地で杭打ち工事のデータ改ざんが発覚している旭化成建材(株)。一連の問題による影響は、旭化成グループ全体にもおよんでおり、創業90年を超える総合化学メーカーとして得てきた信用を失う危機に瀕している。すでに一部では、問題が発覚した杭工事事業から撤退も囁かれ始めた。

4事業101社でグローバルに展開

 旭化成(株)は、宮崎県延岡市が発祥の地とされる総合化学メーカー。現在は、本社を東京都千代田区に置き、同社を筆頭とする旭化成グループは、「ケミカル・繊維」「住宅・建材」「エレクトロニクス」「ヘルスケア」という4つの分野に分かれて事業を展開。同グループは2015年5月31日現在、ケミカル部門32社、繊維部門10社、住宅部門6社、建材部門3社、エレクトロニクス部門22社、医療・医薬部門14社、クリティケア部門2社、その他12社の計101社の子会社および関係会社で構成される。

 同グループは15年3月期、売上高1兆9,864億円(前期比4.7%増)、営業利益1,579億3,300万円(同10.2%増)、経常利益1,665億4,300万円(同16.6%増)、最終利益1,056億5,200万円(同4.3%増)を計上。建材事業や医薬事業で販売量が減少したものの、ケミカル事業において円安、原油安の進行により交易条件が改善したことや、救命救急医療機器製造などのクリティカルケア事業が好調に推移したことなどから増収増益となった。確実に企業グループ体質は強化されているのだ。
 加えて、為替換算調整勘定が528億円、その他有価証券評価差額金が379億円それぞれ増加したことにより、同期末の純資産は1,720億円増加し、1兆977億円となった。自己資本比率は47.7%から53.7%に増加。負債資本比率(D/Eレシオ)は0.08ポイント改善し、0.25となった。

 この強固な財務状況を背景に、同グループは16年3月期、「ケミカル・繊維」で減収増益、「ヘルスケア」などで増収増益を見込み、グループ全体で増収増益という見込みを立てた。11年からの中期経営計画では、「世界の人々の“いのち”と“くらし”に貢献します」をグループ理念とし、グローバルなビジネス展開を実行してきている。今回の事態の惹起で上記のグループ理念が皮肉に聞こえるようになった。

経営陣の事業掌握能力の劣化のなせる業

 この杭打ちデータの改ざんに至った最大の、根本原因は2兆円に達するグループ企業としてトップ経営陣の事業掌握力の劣化である。決して結果論を言うのではない。毎年、トップ経営陣は【どのような事業を推進するか、撤退するか】を総点検するはずだ。トップたちは杭の材料売のことまでは承知していて地面掘りのくい打ち工事までやっているのは認識していなかったのではないか!!旭化成のやるビジネス領域か!!
 旭化成の住宅事業に従事してOBですら【杭製造も止めていたと聞いたのだが――。ところが工事までやっていることを知って愕然とした。天下の旭化成がやる事業か!!】と怒り心頭を露わにする。中興の祖=宮崎輝も草葉の陰で【貴様たちは何をやっているのだ】と激怒しているはずである。事業能力の劣化を超えて経営陣たちの事業魂が瓦解しているのではないか!!即刻、杭打ち事業から撤退すべきである。【桃源郷・延岡から縮小】から旭化成の共通精神が薄れて今回のデータ改ざんの事態を必然的に起こしたのであろう。

関連記事