• このエントリーをはてなブックマークに追加
2020年08月03日 12:03

未来の子どもたちのため、捨てずに“つなぐ”社会の実現を~ベビー&キッズ専門・大型リユースショップ「ポスポス」

ポストアンドポスト(株)

50年後、100年後の未来の社会を、より良いものに

ポストアンドポスト(株)
代表取締役社長 吉田 照喜 氏

 「約5年前に我が子が生まれて、ふと『この子の将来のために、一体何をしてあげられるだろう』と思ったことをきっかけに、未来の地球環境のことを真剣に考えるようになりました。子どもや孫、さらにその先の世代のために、50年後、100年後の未来の社会を、より良いものにしていきたい。具体的には、できるだけゴミを出さないことが当たり前の社会を実現することで、地球温暖化の進行を極力抑えたい。その夢の実現につながる第一歩として立ち上げたお店が、『ポスポス』なんです」―――そう話すのは、ベビー&キッズ専門の大型リユースショップ「POST&POST(ポスポス)」を手がけるポストアンドポスト(株)の代表取締役社長・吉田照喜氏だ。

 吉田社長は、ソーシャルビジネスを通じて社会問題の解決に取り組む(株)ボーダレス・ジャパンの立ち上げ時から参画してきた創業メンバーの1人で、これまでにさまざまな事業の開発に携わってきた。そのうちの1つである、母乳育児向けのハーブティやアロマ・オイルを手がける「AMOMA」事業に携わるなかで、出産を機とした女性の心境や価値観などの変化に着目。

 「私の妻もそうでしたが、女性は子どもが生まれると、どうしても子ども中心にならざるを得ません。もちろん私を含めた世の男性も、父親になることで大なり小なり変化はありますが、女性には到底およびません。人間の価値観がガラッと変わる機会なんて、人生においてそう多くはありませんが、この“ママになること”による大きな価値観の変化に合わせて、うまく消費行動の変化を誘導するアプローチをしていければ、世の中の仕組みを少しずつでも変えていけるのではないかと考えました」(吉田社長)。

 そして冒頭に紹介したように、子どもが生まれたことを機に吉田社長自身の心境にも変化が訪れたことで、未来の地球環境をより良くしていくことをテーマにした“ママ向け”の新規事業を立ち上げることを決意。ボーダレスグループの1社として、2015年3月に同社を設立した。

ポスポス東区 土井店

 同社が展開する「ポスポス」は、ベビー&キッズやマタニティ用品に特化したリユースショップ。16年11月に1号店を南区長住にオープンすると、その店舗デザインのセンスや品質の高さ、品ぞろえの良さ、そして何よりスタッフの接客サービスの丁寧さなどで、瞬く間にママたちの口コミで評判になった。18年9月には西区石丸に2号店を、18年12月には東区土井に3号店をオープン。現在は福岡市内に3店舗を運営しており、リユース品の販売を通じてママたちの子育てサポートに貢献している。

ママ目線での店づくりを徹底

 「ポスポス」の人気の高さの秘密は、既存のリサイクルショップの運営戦略とは逆を行くような徹底した“ママ目線”だ。
 これまでのよくあるリサイクルショップは、倉庫のような薄暗い店舗内に使い古された商品が雑多に並べられて安価に投げ売りされているイメージで、男性目線による販売効率のみを重視した武骨な店舗が多い。骨董市・蚤の市のように“掘り出しもの”を見つける宝探しのような楽しみは感じられるかもしれないが、その一方で“オシャレママ”にとっては、入るのになかなか敷居が高い場所だ。

 また、いざ入店して商品を探そうとしても、ベビー&キッズ用品の商品点数が充実しているところはそれほど多くなく、とくに服関係の品ぞろえでは種類・サイズがバラバラで、欲しいものが見つからないこともザラにある。さらに、商品について詳しい説明を聞こうにも、数多ある商品の一部にしかすぎないベビー&キッズ用品にまで精通しているスタッフは限られており、満足のいく説明を得られることが少ない――といった具合だ。

 一方の「ポスポス」では、ママ目線での店づくりを徹底。店舗デザインや内装などは、無駄を削ぎ落としつつも洗練されたオシャレな空間を意識しているほか、商品陳列の高さやカテゴライズ、魅せ方、さらにはポップに使用する文言1つとっても、徹底的にママ目線やわかりやすさ、見つけやすさにこだわっている。また、全店舗が200坪弱の広々とした空間のなかに、専門店ならではの約1万6,000点もの商品を取りそろえており、「ここに来れば、ほしいものがきっと見つかる」という豊富な品ぞろえも大きな強みだ。

 さらに、スタッフサービスの良さにも定評があり、絶妙な距離感で“コンシェルジュ”のように、そしてときには友だちのように親密に寄り添ってサポート。詳しい商品説明から、「どういうものを買ったらいいのかわからない」という新米ママさんへの買い物アドバイスまで丁寧に対応しており、これが他店にない差別化のポイントとなって、「ポスポス」のファンおよびリピーターの獲得につながっている。

1つのものを大切に地域内で循環

 もちろんリユースショップである以上、安定的な商品供給のため、買い取りにも力を入れている。ほかの商品と違ってベビー&キッズ用品は、我が子の成長と共にあり、1つひとつに思い出が詰まったかけがえのないものだ。そのため、たとえばサイズが合わずに着られなくなった服でもなかなか捨てられずに、ついつい家の収納にしまっておきがちで、ふと気づいたときにはもう古びてしまい、泣く泣く捨てざるを得ない・・・というケースも多いだろう。

 その点「ポスポス」では、買い取った商品は基本的に各店舗内に設けられた「リボーン(Re born)センター」で専任のケアスタッフが丁寧に洗浄などの措置を行い、“新たな命”を吹き込んだうえで再び店頭へと並べ、次の持ち主へとつなげていく仕組み。地域のものは地域で消費する「地産地消」と似た考え方だが、消費(≒廃棄)するのではなく、1つのものを大切に地域内で循環させていきたいという考えだ。我が子の思い出の詰まったかけがえのないものであっても、それが大切に扱われて、同じ地域に住む誰かの役に立ってくれるのであれば――。そして、捨てずにリユースする行動そのものがゴミを減らし、未来の子どもたちが生きる地球環境の改善につながっていくのであれば――。そうした想いで、同店にものを売りにくるお客も多いという。

 「親御さんが『ポスポス』にものを売りに来ることが、子どもたちに対する『ものを捨てずに大切に使う』という教育につながっているケースもあるようです。『ポスポス』の存在がママたちの消費行動の変化を促すだけでなく、それが次の世代である子どもたちにも伝わって根付いてくれれば、本当に嬉しいですね」――と、吉田社長は頬を緩ませる。

 社名および店名を付ける際にチョイスした「ポスト」という言葉には、吉田社長の「大切な想いを人に届ける(つなげる)窓口でありたい」「郵便ポストのように、社会に当たり前に根付いたお店でありたい」――と、そんな想いが込められている。

地域の子育てコミュニティの核となる店へ

 そんな吉田社長に、「ポスポス」の今後の展開について聞いてみた。
 「まだまだやりたいことはたくさんあります。たとえば、現在の商品は乳幼児から小学校入学前の子どもたち向けのものを対象としていますが、近いうちに小学生向けの商品、たとえばスポーツウェアやシューズなどの習い事グッズなどの取り扱いも行っていきたいですね。また、環境に配慮したオリジナルプロダクトの開発や、より多くの人に『ポスポス』のことを知ってもらうために、都心部で買い取り機能を設けずに販売のみを行うポップアップ・ショップの展開なども面白いのではないでしょうか。さらに、もっと商品の対象を広げて、いずれは家族でいろいろと利用してもらえる『家族のポスポス』というような展開も目指したいですし、カフェやワークショップなどで子育てなどに関する情報の交換も行う、地域の子育てコミュニティの核となるような、そんなお店にしていきたいと思っています」――と、吉田社長の夢は果てしなく広がっている。

 もちろん、吉田社長のさまざまな想いをすべてかたちにしようとすれば、今の200坪弱の店舗面積では少々手狭になってくる。そのため、今後は500坪規模のさらなる大型店舗をつくっていくことも検討しているという。また、現在は福岡市内に3店舗を展開するのみだが、新たな出店候補地として、北九州、久留米、大野城などの子育て世帯が多いエリアを中心に店舗物件の情報を募集中。まずは福岡市内から県内各エリアに店舗網を広げ、ゆくゆくは九州、そして日本全国に700店舗を展開していきたい考えだ。

捨てない。大切なこの子のために。

捨てない。地球の環境のために。

捨てない。100年後の未来のために。

 これは、「ポスポス」の店舗に掲げられている、同社および同店のコンセプトを端的に表す三行詩だ。ベビー&子ども用品を始めとしたさまざまなものが、リユースされることでゴミとならずに地域で循環していく――。そうした仕組みが根付いた未来の到来は、「ポスポス」の拡大とともに、現実味を帯びていくだろう。

【坂田 憲治】


<COMPANY INFORMATION>
ポストアンドポスト(株)

代 表:吉田 照喜
所在地:福岡市東区多の津4-14-1
設 立:2015年3月
資本金:1,000万円
TEL:092-292-5791
URL:https://post-post.jp

<ポスポス南区 長住店>
所在地:福岡市南区長住5-15
TEL:092-408-2740

<ポスポス西区 石丸店>
所在地:福岡市西区石丸3-4−26
TEL:092-834-6330

<ポスポス東区 土井店>
所在地:福岡市東区土井4-2-5
TEL:092-410-2000

 現在、新型コロナの影響のため、各店とも夕方5時の閉店となっている。また、買い取りはWEBでの事前予約制となっているため、買い取り希望の方はWEBで申し込んだうえでご来店を。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2020年10月01日 07:00

球磨川豪雨検証委員会・川辺川ダムがあれば~球磨川は決壊しなかった可能性を示唆(後)NEW!

 流域市町村のメンバーからは、基本的に川辺川ダム建設に前向きな発言が相次いだ。濃淡はあるが、主な発言をピックアップすると、以下のようになる...

2020年10月01日 07:00

すり鉢の底・渋谷の浸水対策~駅東口に4,000m3の雨水貯留施設(後)NEW!

 同施設の主な集水エリアは、渋谷駅東口駅前広場から宮益坂上交差点付近までとなっており、1時間あたりの降雨量が50mmを超えた場合に取水される仕組みだ...

2020年10月01日 07:00

市内企業の成長促す金融支援~下関市と連携協定で課題解決へ(後)NEW!

 『日本史の節目にたびたび登場しているほか、明治維新はもちろん、欧米列強の仲間入りのきっかけとなった日清戦争後の「下関条約」締結など、日本の近代化はある意味、この山口...

2020年10月01日 07:00

歴史・交通・人をつなぐ結節点~海峡都市下関市のこれから(2)NEW!

 1901年5月には山陽鉄道が延伸し、その終着駅として「馬関駅」(ばかんえき)が開業。翌02年6月に赤間関市が現在の「下関市」に改称したのにともない、馬関駅も下関駅へ...

2020年09月30日 17:18

9月30日の日経平均~前日比▲353.98円の2万3,185.12円

 【表1】を見ていただきたい。日経平均株価の推移表である。 ~この表から見えるもの~ ◆今日30日の日経平均株価(終値)は、前日比▲353円98銭の2万3,185...

2020年09月30日 16:07

まちかど風景・西区~周船寺駅から徒歩5分圏内にマンション

 福岡市西区周船寺2丁目。JR「周船寺駅」から徒歩5分圏内で、スーパー「にしてつストア周船寺店」の裏手にマンションが建設予定となっている...

2020年09月30日 16:00

【縄文道通信第48号】「今なぜ縄文道なのか」―縄文道 ユートピア論―縄文道――武士道――未来道―今も息づき未来に活かせる(中)

 四方を海に囲まれ、約70%の森林をもち、平地には豊かな農地を開墾することで、人間の命を守ってきた知恵。山紫水明の国として、豊かな自然環境を大事にしてきた知恵...

2020年09月30日 15:57

糸島漁協×博多女子高校生、「糸島鯛味噌~香る3姉妹~」販売へ

 糸島漁業協同組合と博多女子高等学校の生徒とのコラボにより、糸島天然真鯛を使用した新たな商品が完成した。商品名は「糸島鯛味噌~香る3姉妹~」...

2020年09月30日 15:33

基準地価 福岡は上昇続くが天神ビッグバンに懸念の声も

 国交省は、今年7月1日時点の地価調査の結果を発表した。全国全用途の平均は、2017年以来の下落に転じ、三大都市圏では名古屋圏が12年以来の下落、東京・大阪は上昇を継...

2020年09月30日 15:30

地球環境を踏まえた持続可能な「市場経済システム」を模索!(2)

 「自由民権運動の指導者で、日本のルソーとも言われた中江兆民氏は病気で余命1年と言われたときに執筆した著書『一年有半』のなかで...

pagetop