2024年05月04日( 土 )

内装業から「空間プロデューサー」へ ユーザーの「行為」を促すデザインを

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クレアプランニング(株) 代表取締役社長 中田 泰平 氏

時代を生き抜くために必要なのは「進化」

大濠テラス 八女茶と日本庭園と。
大濠テラス 八女茶と日本庭園と。

 「空間プロデュース事業」を掲げ、商業施設や公共施設の内装設計・施工を手がけるクレアプランニング(株)。「JR博多シティ」をはじめ、最近ではプロジェクト創生型シェアオフィス&コワーキングスペース「The Company」、第32回美しいまちづくり建築賞・福岡県建築住宅センター理事長賞受賞作品「montan HAKATA」、大濠公園の新スポット「大濠テラス 八女茶と日本庭園と。」などなど、手がけた物件のラインナップを見渡すだけで、同社が画期的かつ合理的な動線と洗練されたデザインで「施設」のイメージを一新、まち全体を活性化させ未来を切り拓く事業者として、高い評価と信頼を得てきたことがよくわかる。

 同社の原点は、現会長の中田泰之氏が1973年8月に創業した「タイヘイ内装工業」である。81年12月に(株)タイヘイを設立、87年8月に社名を(株)丹創社に変更、2008年10月に現商号へと変更した。05年に入社した現代表の中田泰平氏が、先代の施工技術や信念を受け継ぎつつ、企画・デザインから提案できる企業へと社を「進化」させたのだ。そこには、事業を取り巻く環境の変化を背景とした、若き経営者ならではの「気づき」があった。

 先代が事業を発展させていったのは、建設需要の高い時代。受注に際しては合見積もりが一般的で、専門的な技術力と他業者とのネットワークがありさえすれば、仕事に困ることはなかった。入社当時の泰平氏は、この風潮が長く続くものではないと直感したという。実際、08年9月のリーマン・ショックに端を発する建設不況で注文は激減。泰平氏は仕事を「受ける」時代から「取りに行く」時代への変化を素早くキャッチし、空間そのものを「プロデュースする」という考え方に辿り着いたのだった。

美しいデザイン≠良いデザイン

クレアプランニング(株) 代表取締役社長 中田 泰平 氏
クレアプランニング(株)
代表取締役社長 中田 泰平 氏

 泰平氏が取締役代表として社の舵取りを担うようになって、今年でちょうど10年。いまや、家具・什器の製造販売やディベロップメント事業も手がける、空間全体のクリエーターへと成長している。だが、事業は拡大しても同社の基本はひとつ。その建物を使う人々の、そこでの「行為」に寄り添うことである。

 泰平氏は常々社員に説いてこのように言う。「美しいデザインは誰にでもできる。だが、それを使う人の『行為』にまで目を向けられているか?その行為を促すために我々の仕事はあるのだ」、と。つまり、外観を整えることでよしとする会社であってはならない、むしろ、ユーザーがその空間を使って行おうとする行為がスムーズになされる、さらには、思いもかけない行為を引き出しさえするような、そんなクリエイティブな空間を生み出すことこそが、デザイナーの使命というわけだ。自社が創造する個々の空間が、そこに集う人びとによって新たな意義と様相を与えられ続け、それがまち全体の「進化」の原動力となることを願いつつ、クレアプランニングはいまこの瞬間も「進化」をやめない。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:中田 泰平
所在地:福岡市中央区天神4-7-11
設 立:1981年12月
資本金:5,000万円
TEL:092-724-1115
URL:https://www.crea-p.co.jp


<プロフィール>
中田 泰平
(なかた・たいへい)
1975年生まれ。岡山理科大学を卒業後、楽器店勤務を経てクレアプランニング(株)に入社。2011年6月に同社取締役社長に就任。2代目社長として同社を牽引するほか、地元・博多を盛り上げる活動など社外でも精力的に活躍している。趣味は音楽、アウトドア、各種スポーツ。

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