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2021年11月24日 13:58

世界平和に向けて(27)外国人入国制限要件の大幅緩和へ始動(後)

 政府は新型コロナウイルスの水際対策を継続してきたが、ワクチン接種の普及にともない、国際社会に歩調を合わせる方向で、外国人のビジネス関係者や留学生、技能実習生などに対する入国制限要件を11月8日から大幅に緩和した。

外国人技能実習生や特定技能の労働者活用に向けての留意点

外国人技能実習生 イメージ 日本企業は生産年齢人口の急激な減少により、各業界・業種ともに人手不足の課題が解消されていない。このまま新型コロナウイルスの感染者数が落ち着いていけば、入国緩和措置により、労働力となる外国人が徐々に入国し、雇用が促進される傾向となる。そこで技能実習生と特定技能について、実務上の留意点を確認しておくことが必要である。

 とくに在留資格の特定技能1号について、現行法では最長5年間の在留制限が設けられている。政府はこの制限を2022年度にもなくす方向で調整している。今回は現行法を基に実務上の重要な留意点を確認する。

 技能実習生は、実習期間中に日本で修得した技能や知識を母国に持ち帰り、自国の発展に貢献するという技術移転による国際協力を目的に制度化された。このため、人手不足解消の目的で日本企業が雇用することは本来の主旨を逸脱する。つまり、実習計画に沿った業務以外の仕事をさせることは違法な雇用に該当する。

 特定技能は、介護・ビルクリーニング・素形材産業・産業機械製造業・電気電子情報関連産業・建設業・造船舶用業・自動車整備業・航空業・宿泊業・農業・漁業・飲食料品製造業・外食業の14業種を対象とし、少子高齢化による生産労働人口の減少を背景とした人手不足の解消への対応を目指した在留資格である。

 この2つの制度を活用するために、仕組みの違いを認識したうえで、違法な雇用が生じないように再確認する必要がある。

入国にともなう深刻な裏金問題

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 現状を見ると、技能実習生と特定技能は日本企業による雇用の際に、過大な債務を背負って来日する者が多く、給与の第一使途は債務返済にあてることであり、返済が終わるまで働いていることが現実の問題として挙げられる。

 技能実習生の場合、1人約80~150万円という高額な債務を背負っている。また、特定技能の場合は、日本の受け入れ雇用企業が雇用するために、登録支援機関を通して送り出し機関へ1人平均15万円を支払うケースが多い。これは企業が送り出し機関へ紹介料として支払っている出費と同様で、無駄なうえに非合法な裏金となっている。

 しかし、日本の受け入れ雇用企業では、非合法な出費である事実を知らないまま支払っていることが大半で、これは啓蒙活動の不足が原因といえる。

 とくにベトナムから来日する人材は過大な債務を背負っているケースが大半で、今回の入国緩和措置によって、コロナ前から非合法な中間マージンで利益を得ていた現地の送り出し機関や中間業者、日本の監理団体(協同組合)の一部、技能実習生や特定技能の受け入れ雇用を希望する企業先を現地の送り出し機関へ紹介した者には、領収書を必要としない紹介料が支払われている。

 この悪しき慣習が再開されるにあたり、これから外国人実習生などを雇用する企業の関係者には、無駄な経費の支払いは不要であることを知っておいてほしい。

 つまり特定技能を採用する際に、登録支援機関に雇用に関する手続きなどを依頼し、通常なら約12~20万円で完了するのに約30~60万円と提示された場合は、その登録支援機関へ依頼を継続することは勧められない。

 技能実習生の紹介料は、企業に雇用が決まった人材1人につき約5~15万円で、1企業で1回あたり3~10人が雇用される。雨風や寒さ暑さがしのげて、職場が清潔な工場勤務などは実習生の人気が高いため、1人あたりの紹介料が約10万円になるケースが多い。雇用された人数分の費用が、汗をかかない紹介者へ領収書不要で手渡しとなっているのが現実である。

 採用する企業は必ず現地へ面接や視察に行くため、その際に現地の送り出し機関が、日本の企業と監理団体(協同組合)に往復航空運賃や宿泊費、現地での手厚い接待の費用、紹介料などの経費をすべて支払うのが慣例となっている。

 しかし、そうした経費そのものが、来日する実習生の債務となって背負わされているという現実も、裏金問題に直結しているといえる。このような非合法な仕組みや裏金の流れなどの詳細については、次回以降に報告したい。

◆     ◆

 筆者は留学生や各種外国人実習生などの入出国、採用・雇用の問題、労働関係や各種トラブルの解決など、企業・学校関係者と外国人に関わる仕事に従事してきた。

 筆者に相談していただければ、早期解決に向けて最も有効な助言や、各種専門的な資格者との面談機会を設けるなど要請に応じることが可能であり、ぜひ活用してほしい。

(了)

【岡本 弘一】

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