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2017年02月23日 16:37

大塚家具の改革はなぜ失敗したか 「仏作って魂入れず」の悪しき実例(前)

 社内改革は難しい。成功するよりも失敗したケースが圧倒的に多い。大塚家具は社内改革にものの見事に失敗した。大塚久美子社長(49)は創業者の大塚勝久氏(73)を追放して、経営改革に邁進したが、業績悪化に拍車がかかり、とうとう経営は崖っぷちに立たされた。なぜ、失敗したのか。検証してみよう。

路線転換で月次売上高は前年割れ

 (株)大塚家具は2月10日、2016年12月期決算を発表した。売上高は前年同期比20%減の463億円、本業の儲けを示す営業利益は45億円の赤字(前期は4億3,700万円の黒字)、最終損益も45億円の赤字(同3億5,900万円の黒字)に転落した。

 創業以来の大赤字という惨憺たる業績だ。中期計画で掲げた17年12月期の最終黒字は14億円だったが、あまりの窮状に取り下げた。

 大幅な赤字の要因は、売上高の減少が止まらないことにある。16年1~12月の月次売上高(全店ベース、16年12月期末時点18店)は、「大感謝会キャンペーン」を実施した4月に前月比2.1%増になった以外はマイナス。5月は、前年の「おわびセール」の寄与がなくなり46.2%減、11月も前年の「売り尽くしセール」の反動で41.5%減と大きく落ち込んだ。

 各メディアは、久美子社長の路線転換が裏目に出たと報じた。経済専門誌、東洋経済オンライン(2月11日付)の敗因分析を見てみよう。

〈久美子社長は、創業者の父、勝久氏が作り上げたビジネスモデルと決別。店舗の入り口で受付を行い、会員向けの丁寧な接客を強みとしていた高価格路線から一転、自由に店内を見て回れる「入店しやすい」を重視した店作り、接客方法を導入した。だが、今のところ、路線転換の成果は出ていない。〉

 家具店は、スーパーやコンビニのようにしょっちゅう行くところではない。結婚や新築、引っ越しの際に買うのがほとんど。何回か足を運ぶ。店員との個人的な信頼関係がものを言う。高価格帯の展示スペースを減らし、中価格帯の売り場を広げたが、低・中価格の客層は取り込めず、高級路線を支持していた顧客の足が遠のいた。各メディアはこうした見方で一致している。その通りだろう。

教科書通りにカバナンスの絵を描いただけ

 これからが本題だ。久美子社長の社内改革は、なぜ失敗したのか。社内改革は、何をやるかよりか、誰がやるかで決まる。久美子社長は、何をやるかに力を入れたが、誰がやるかには重きを置かなかった。それが、失敗した最大の理由だ。

 社内改革で必ず失敗するのは、外部のコンサルタントが入ってきて、改革する場合だ。理論武装は完璧だが、改革を実行する現場を無視しているため、理論だけが空回りして機能しない。大塚家具の社内改革は、典型的な失敗例である。久美子社長自身がコンサルタントであったことも大きく影響しているだろう。

 大塚久美子氏は1968年2月26日、大塚家具の創業者の大塚勝久氏の長女として、埼玉県春日部市に生まれた。幼少より学業優秀。91年に一橋大学経済学部を卒業。女性総合職として(株)富士銀行(現(株)みずほ銀行)に入行。94年、家業を手伝うために大塚家具に入社。96年に取締役に就任。個人商店からの脱却を目指したが、はかばかしくなかったようで、2004年取締役を退任した。

 05年に広報・IRコンサルティング会社、(株)クオリア・コンサルティングを設立し、代表取締役に就任。07年にコンサルティング会社フロンティア・マネジメント(株)の執行役員を務めた。

 大塚家具の業績が悪化したため父親に呼び戻されて09年、大塚家具社長に就任。だが経営方針を巡り会長の勝久氏と対立。14年、久美子氏は社長を解任された。15年、久美子氏は反撃に出る。連日テレビのワイドショーを賑わした劇場型親子ゲンカだ。

 久美子氏が錦の御旗に掲げたのが「ガバナンス」(企業統治)の強化。ガバナンスは社外取締役と同じ意味で使われている。大塚家具のお家騒動の影の主役は社外取締役だった。勝久氏は社外取締役に敗れたというのが、コトの真相である。

(つづく)

 
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