寡占化を推進するヤマダデンキグループ(9)デンキセグメントにおける店舗戦略の行方
多様なブランドで構成
今回は、(株)ヤマダホールディングスの全体の業績、そのなかで本業であるデンキセグメントの状況を改めて確認したい。同セグメントは現状、(株)ヤマダデンキが全体を統括。商圏や立地、店舗規模、取り扱い商品によって複数の店舗形態を使い分けている。具体的には、都市型店舗の「LABI」や郊外型の「テックランド」「アウトレット・リユース店」、ECサイトの「ヤマダウェブコム」、そして家電・家具・インテリアに加え、リフォームなどをより総合的に取り扱い、「くらしまるごと」を提案する「LIFE SELECT」などだ。
このほか、「ベスト電器」「ツクモ」「マツヤデンキ」といったグループ入りした企業のブランド、ドラッグストアの「キムラヤ」、そして家具・インテリアの「IDC OTSUKA」などもあり、同業他社に比べて幅広い店舗・ブランドを展開しているのが特徴の一つだ。そのメリットは、全国の顧客との接点を確保できること、つまり消費者にとって「ヤマダが近くにある」という状態をつくり出すことだ。
ECが普及した今でも、家電は冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど大型商品が多く、実物を見たり、店員に相談したり、配送・設置を依頼したりする需要が根強く存在する。全国に店舗があれば、ECだけでは取り込めない顧客との接点を維持できるわけだ。
例えば福岡市内の状況をみると、26年10月上旬時点でヤマダデンキの「テックランド」が7店舗、ベスト電器の店舗も7店ある。このほか、IDC OTSUKAが1店(福岡ショールーム)ある。ベスト電器の福岡本店は26年2月15日に閉店し、同年4月29日に移転オープン。そのなかにはツクモ福岡店も入居している。したがって、ブランド・店舗単位で数えれば16店となるが、ツクモ福岡店はベスト電器福岡本店の2階に入居しているため、店舗拠点としては15拠点となる。
一方、ヤマダデンキ以外の主要な家電量販店の出店状況を見ると、ビックカメラグループ(コジマ含む)が4店、ヨドバシカメラが1店、ケーズデンキが3店。販売網の緻密さは圧倒的である。
店舗の統廃合を推進
ヤマダデンキの全国の店舗数は26年3月末時点で928店ある。その推移を見ると、21年期982店→22年期995店→23年期1,000店→24年期975店→25年期949店→26年期928店となっている。このように23年3月期をピークに、現在、店舗の統廃合を進めているのが現状だ。ただ、26年3月期末の直営店の売場面積は292万2990m2で、前期比101.7%に増えている。
要するに、小型店を含め店舗を整理する一方、大型店などへの集約を進めることで、売場面積や品ぞろえを増やし、より広い商圏から顧客を集めるという売場戦略に移行中なのだ。店舗が多ければ、家賃・地代や建物維持費、電気代、人件費などが多く発生する。とくに人口減少地域では、昔は十分だった商圏人口が縮小する可能性が強い。そのため、ヤマダデンキは現在、店舗数を単純に維持するのではなく、店舗の選択と集中、統廃合を進めているのだ。
26年3月期のヤマダホールディングスは売上高1兆6,918億800万円(前期比3.9%増)だったが、営業利益は161億6,600万円(同62.2%減)。このうちデンキセグメントの売上高は1兆3,294億2,600万円(同1.3%増)で、営業利益は24億9,200万円(同91.7%減)にとどまった。なお、ポイント施策の影響額を除いたデンキセグメントの売上高は1兆3,537億4,200万円(同2.0%増)である。連結営業利益の大幅な減益には、デンキセグメントの大幅な減益が大きく影響している。
もちろん、この減益には在庫処分など複数の要因があり、店舗数だけが原因ではないが、大量の店舗を抱えるビジネスモデルでは、売上規模が大きくても店舗運営をいかに効率よく稼働させるかが重要になる。例えば、前述の福岡市内の店舗の多さは、顧客との接点という点では強みである一方、商圏が重複する店舗については、今後の収益性や店舗ごとの役割を見直す必要性も出てくる。
このため、現在は「LIFE SELECT」を中核としたエリア店舗開発・改革に注力。26年3月末現在で全国41店舗が展開されている。福岡市内には現状「テックランド」などが展開されているが、今後、「LIFE SELECT」を軸とした店舗再編や、ベスト電器を含むグループ各ブランドの店舗の役割見直しが進む可能性がある。いずれにせよ、多ブランド展開についても今後は見直しが進められそうな勢いだ。
エディオンとの統合の影響は
ところで、27年10月1日に予定されているヤマダホールディングスと(株)エディオンの経営統合は、こうした店舗戦略にも大きな影響を与える。両社は26年6月5日に持株会社方式による経営統合について基本合意しており、現時点では27年10月1日を効力発生日とする予定である。エディオンは全国では合計1,180店。これはヤマダデンキの928店より多い。もっとも、その内訳は直営店453店、FC店727店であり、ヤマダデンキの928店と単純に比較することはできない。
経営統合後、ヤマダデンキとエディオンの店舗数は2,000店を超える規模となる。FC店は地域の電器店などを含むため、すべてが大型の家電量販店というわけではない。エディオンは、直営の大型店と地域に密着したFC店を組み合わせることで店舗網を構築しており、ヤマダデンキとは店舗展開の考え方にも違いがある。
例えば福岡市内だけをみても、ヤマダグループとエディオンの店舗網が重なることになる。これまでライバル関係にあった店舗を含め、経営統合後にどの店舗を残し、どの店舗の機能を高めるのか。また、大型店と地域のFC店をどのように使い分けるのか。そうした店舗網の再編は、経営統合後の大きな課題になるとみられる。
これまでヤマダデンキにとって、店舗数の多さは大きな競争力だった。しかし、人口減少やEC化が進み、売上高が増えても利益を確保することが難しくなるなかでは、単純に店舗数を維持するだけでは十分ではない。店舗を選別し、残った店舗の規模や機能を高めるとともに、グループ各社のブランドをどう組み合わせていくかが重要になる。そこにエディオンの店舗網が加わることで、店舗数の拡大というメリットだけでなく、商圏の重複や店舗の役割分担という新たな課題も浮かび上がってくる。
(つづく)
【田中直輝】









