簗和生農水大臣(当時)が辞任した10月14日の午前10時、道路予算を削減された栃木・那須烏山市議会は臨時議会を開催。「簗和生衆議院議員の言動に対し強く抗議する決議」を可決した。
その後に議長と提出市議が囲み取材に応じ、簗氏が予算削減発言について地元住民に説明すべきと訴えた。この動きが辞任の最後の一撃になったようにも見えた。
前日(13日)の衆院予算委員会では野党が予算削減発言や新たに報じられたシャトルバス問題を追及すると、それまで「仕事で返せ」と簗氏をかばっていた高市首相も一転して「ダサい」と批判して更迭を匂わせた。その翌日、地元で抗議決議が出たのに呼応するかたちで、高市首相は実質的な更迭をするという経過だったのだ。
高市政権初の大臣辞任を勝ち取った野党は勢いづき、さらに追及を強めようとしている。簗氏が地元で説明責任をはたしていないことに加えて、国交省幹部との面談記録が出てこないなど真相解明にはほど遠い状況であるためだ。
問題の面談は、簗氏が小選挙区で敗れて比例復活をした総選挙直後の2月中旬。しかも簗氏が国交省幹部に問い合わせたのは道路予算が減額された那須烏山市と那珂川町のみ。対抗馬の衆院議員の票が自身の票を上回った地域(二市町)だけだったのだ。状況的には、国交省幹部面談で二市町の予算減額の働きかけをしたと疑われても仕方がないが、その記録は残っていないと国交省は説明しているのだ。
そこで10月7日の簗大臣臨時会見では私は、こう問いただした。
──なぜ(面談)記録がまったくないのか。記録を見ないと働きかけをしたかどうか分からないではないか。ヤバいことをやったから隠しているのではないか。国交省と口裏合わせをしているのではないか。国交省とどういう話をしたのか具体的に話してください。
簗氏 働きかけは一切していない。
──(面談記録を)隠ぺいしているのではないか。だいたい、記録を残さないのはありえないのではないか。
簗氏 記録は残していないから正直にお伝えしている。
──意図的に残さなかったのではないか。国交省にも「(記録を)残すな」と言ったのではないですか。
簗氏 そういうことはない。
──国交省とあうんの呼吸で、自民党に票を入れないところは(予算を)減らす暗黙の了解があるのではないか。
簗氏 そういう話は答えられない。
最後まで平行線のやりとりだったが、この面談記録がないことについて民主改革の会の小川淳也代表は「国交省の記録は残っていると思う」と10月16日の会見で断言した。以下のような質疑応答をしたときのことだ。
──官僚出身の小川代表にぜひ聞きたいが、簗前大臣が国交省の官僚と総選挙直後に会ったときのメモが残っていないが、これは普通だったらありえない対応ではないか。メモが残っていないのは、そういう問題発言、予算を私物化するような趣旨の発言をして、あえて記録として残さなかったのか、隠しているのか。そういう可能性が高いと思うが…。メモがないこと自体、歴代自民党がずっと官僚と暗黙の了解として「自民党の票が多いところには予算をつける」ということをやっていたと疑わざるを得ない。
小川代表 まず国交省の記録はあると思う。私の勤務経験から言っても、それ(メモがない状態)では仕事にならないから。(国交省)担当幹部の発言を見ていると、「細かい記録がない」とか曖昧な言い方に終始している。細かいか細かくないのかは主観だから、記録はあると私は思う。従って、その記録の開示が今回の真相解明の第一歩だと思う。
「記録はあると思う」と言い切った小川代表は、全国の予算減額自治体調査にも前向きだった。国交省は、道路予算が減額されたのは那須烏山市や那珂川町だけではなく、全国各地にあるとも説明しているが、そういった自治体は自民票が全国平均より少ない傾向があるのではないか。「自民票が少ない地域の道路予算は削減」という暗黙の了解(不文律)があるとすれば、両者には相関関係が見て取れることになる。こうした予算が減額された全国自治体調査にも小川代表は前向きだったのだ。
簗大臣の予算削減発言は辞任で幕引きとなるものではない。野党は全省庁予算の調査も高市政権に求めるなど、さらなる追及をしようとしているのだ。今後の通常国会審議から目が離せない。
【ジャーナリスト/横田一】









