“顔パス”で暮らせる日本最大規模の未来型スマートシティ誕生へ、九大・箱崎キャンパス跡地「HAKOZAKI BLOCK」

 10月22日、住友商事(株)を代表企業とする8社のコンソーシアムは、福岡市東区の九州大学箱崎キャンパス跡地(約28.5ha)で進める「九州大学箱崎キャンパス跡地地区事業」のプロジェクト発表会を開催。プロジェクト名称を「HAKOZAKI BLOCK(ハコザキブロック)」に決定したと公表した。

10月22日開催のプロジェクト発表会の様子
10月22日開催のプロジェクト発表会の様子

 「HAKOZAKI BLOCK」では、コンセプトとして「好奇心まで、ひらくまち。」を掲げ、次世代通信技術「IOWN」を導入した最新のスマートサービスによる“顔パス”の暮らしを実現。福岡・九州の次なる成長を牽引する日本最大規模の未来型スマートシティを目指していくという。分譲マンション13棟(約2,000戸)と賃貸マンション2棟(約770戸)などの住宅機能も整備され、第1期のまちびらきは2028年度を予定している。

 同プロジェクトにおいては、24年4月に住友商事を代表とし、九州旅客鉄道(株)(JR九州)や西日本鉄道(株)(西鉄)、西部瓦斯(株)(西部ガス)、清水建設(株)、大和ハウス工業(株)、東急不動産(株)、(株)西日本新聞社の8社で構成されるグループが優先交渉権者に選定され、26年3月に再開発事業者として正式に決定していた。

 今回のプロジェクト発表会では、コンソーシアム8社それぞれから経営陣らが登壇。代表して住友商事の都市総合開発グループCEO・本多之仁氏が「8社共同事業で、この広大な土地をすばらしいまちにしていく。2028年にまちびらきを予定しており、いよいよあと2年というところになった」と挨拶し、コンソーシアムとして全力を尽くす姿勢を強調した。

 来賓挨拶では、10月1日に就任したばかりの九州大学の赤司浩一総長が登壇し、「ここは歴史的にも重要な役割の地。ぜひ、すばらしいまちづくりを成功させていただきたいし、我々九大も新しいまちを育てていく力になりたい」と期待を述べた。

来賓挨拶を行う九州大学・赤司浩一総長
来賓挨拶を行う九州大学・赤司浩一総長

    プロジェクト名の「HAKOZAKI BLOCK」には、まちをかたちづくる「街区=BLOCK」の意味のほか、九州大学箱崎キャンパスの知と記憶を受け継ぐレンガや、箱崎の「箱」を思わせるかたちなど、この場所ならではのイメージを重ねた。積み木=Building Blocksのように、知や人、暮らし、アイデアを試し、好奇心を積み上げていく象徴でもある。「子どものころに夢中で遊んだ積み木のように、知恵や人、日々の暮らし、そして新しいアイデアを試し、好奇心を積み上げていく象徴でもあります」(住友商事・箱崎プロジェクト室 都市開発チーム長・中野貴仁氏)。

HAKOZAKI BLOCK ロゴ
HAKOZAKI BLOCK ロゴ

 まちづくりの基本思想は「HAKOZAKI Green Innovation Campus」。九州大学の歴史と緑豊かな環境を継承し、多様な人・企業・研究者が交流・共創することで新たな価値やイノベーションを生み出していくという。まちは機能ごとに区切られたゾーンの寄せ集めではなく、8つのエリアが有機的につながる1つの生命体のような構造をイメージ。車を外周(ゲートゾーン)で受け止め、内部は歩行者専用の「歩の軸(あゆみのじく)」を中心とした緑道空間とし、軸沿いに8つの広場と6つの「スマートステージ」、5つのストリートを配置。アンブレラフリーの回廊で雨の日でも快適に歩ける「まち全体が公園」のような空間を整備する。

街区(8つのエリア)
街区(8つのエリア)

 核となるのは、「九州大学100年の歴史の継承」「福岡の文化・1000年の歴史の継承」「新産業の創造と成長」「環境先進都市の創造と成長」「みどりあふれる空間の創出」「新しいライフスタイルの創出」──の6つの方針だ。

まち俯瞰イメージ
まち俯瞰イメージ

 住宅機能は、ファミリー向けの分譲マンション13棟(約2,000戸)や、単身・2人世帯向けの賃貸マンション2棟(約770戸)、学生向け賃貸住宅(約50戸)のほか、共同社員・学生寮や介護・生活支援サービス付きの高齢者向け住宅などを整備。これにより、約5,400人が住むインクルーシブなコミュニティが生まれていく見通しだという。

 国道3号線沿いのウェルカムゾーンには、九州最大規模の旗艦店となるエディオンのほか、ロイヤルホームセンター、イオン九州の大型食品スーパーの出店が決定している。また、まちの中央部には九州の食文化を世界に発信する「フクオカサステナブルフードパーク」が誕生。来場者は国内外から年間約300万人以上を試算している。

国道3号沿いのウェルカムゾーンイメージ
国道3号沿いのウェルカムゾーンイメージ

 医療・福祉機能が集まるウェルネスゾーンでは、二次救急を担う総合病院と産婦人科クリニック、クリニックモールをデジタルで連携させ、「まちぐるみのかかりつけ医」とも呼べる地域医療ネットワークを形成する。自助・共助・公助にスマートサービスによる「技助」を加えた「箱崎版地域包括ケアシステム」の確立を目指し、本人同意のもとでPHR(健康記録)を活用した切れ目のないケアや、オンラインの健康相談から受診手続き、診察後のフォローアップまでを一気通貫で受けられる「スマートクリニック」の導入を予定する。

 ナレッジゾーンには日本人と外国人が共学するインターナショナルスクールや、定員約700名の外国語専門学校(寮・ホテル棟併設)が開校し、九大が100年かけて築いた学びのレガシーを「マナビマチ」として継承する。子育て世代から高齢者までを支援する多世代交流施設には、サービス付き高齢者向け住宅や認知症向けグループホーム、幼児・児童向け教室、学生向け賃貸住宅が入る。

 イノベーションコアには、IOWN(アイオン/Innovative Optical and Wireless Network/光技術を活用した次世代の情報通信基盤構想)のユースケース開発を軸に、多様なプレイヤーが集う「BOX FUKUOKA」や、健康・医療関連企業のラボ・オフィスからなるライフサイエンスパークを整備。北の玄関口となる複合施設「North Gate HAKOZAKI」は、JR貝塚駅の駅前広場を介してつながり、パークアンドライド駐車場を備えたモビリティハブとして賑わいを支えていく。

BOX FUKUOKAイメージ
BOX FUKUOKAイメージ
North Gate HAKOZAKIイメージ
North Gate HAKOZAKIイメージ

 今回の「HAKOZAKI BLOCK」は、福岡市が進めるプロジェクト「FUKUOKA Smart EAST」の先行プロジェクトという位置づけになる。「FUKUOKA Smart EAST」は、モビリティやセキュリティ、エネルギーといった最先端の技術革新による、快適で質の高いライフスタイルと都市空間を創出し、未来に誇れるモデル都市を創造していくとしており、イノベーションの導入などによってさまざまな社会課題を解決することで、持続可能で快適なまちづくりを目指すプロジェクトである。

 「HAKOZAKI BLOCK」では、生体認証を活用した“顔パス”サービスを軸に、財布もスマートフォンも家の鍵も持ち歩かないで済む暮らしを提案する。タウンポータル、共通ID、データ連携基盤を核に、安全、健康、移動、買物・物流、エンタメ・体験など9分野のスマートサービスを連携させ、1人ひとりに最適化して提供する考えだ。共通IDはオプトイン(本人同意)前提で、利用者が希望した場合のみ発行し、居住者に加えて来街者や観光客も取得できる仕組みを検討中だという。

 また、平常時はスマートマネジメントセンターが約100台のAI防犯カメラや機能拡張型道路照明灯・スマートポールと連携して見守りを行い、3D都市モデルを一体化したデジタルツインで人流をモニタリング、防犯・防災の予測にもつなげていくという。

【坂田憲治】

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