2024年04月28日( 日 )

血液検査の進化(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 私たちの体の60%は水でできている。人体の水は体液と呼ばれるが、体液は細胞のなかにもあるし、外にも存在する。体液の比率は、細胞内が2に対して細胞外が1の割合で、血液は細胞外の体液の一部である。血液の比率は人体の約8%で、量としては平均4~5リットルはある。
 血液の成分は、細かく分けると驚くほど多くの成分で構成されている。しかし、血液を大きく分けると、約半分を占めている液体成分である血漿(けっしょう)と、血球とに分けられる。血球の99%は酸素などを運ぶ赤血球で、残りの1%は白血球と血小板で構成されている。

 血液は体中をめぐりながら、栄養と酸素を供給したり、老廃物を運んだりしながら、生命維持に欠かせない大事な役割を果たしている。
 たとえば、私たちの主要エネルギー源であるブドウ糖は、血液のなかを流れている。私たちが食事をすることによって炭水化物を体内に取り込むと、炭水化物は消化器官の酵素で分解され、単糖類であるブドウ糖になり、小腸で吸収される。吸収されたブドウ糖の一部は肝臓に貯蔵され、残りのほとんどは血液によって全身のエネルギー源として供給される。
 また、血液中の白血球は免疫システムを担っていて、外部から病原菌やウイルスなどの侵入があった場合、私たちの体を守ってくれる。血液の構成成分1つひとつは、このような生命維持活動において、なくてはならない大事な役割を果たしてくれている。

 血液は人体のバランスを維持するさまざまな役割を担っているので、その人の健康状態について調べるための一番良い方法は、血液検査である。血液検査は、たとえ本人の意識がなくても採血できるという便利な側面もある。
 血液は身体情報の宝庫で、血液検査をすることによって、病気やケガを未然に防ぐことができる。私たちの体は状態によって血液成分が変化し、成分の変化をチェックすることで、体の健康状態が把握できる。最近は血液検査によって、生活習慣病をはじめ、感染症、アレルギー、それからガンまで早期発見することが可能になり、血液検査は頻繁に利用されている。病院では、どんな病気であっても、病名を確定するのにまず血液検査を行う。血液検査でわかる項目は2,000項目以上と言われているが、通常、そのなかで20~30項目の検査を受けるのが一般的である。

 一般検診で血液検査というと、通常、赤血球や白血球の状態や数を調べる検査と、それ以外の成分である血漿を調べる検査を組み合わせている。血球の数の増減で健康状態がわかるし、血漿に入っているタンパク質の比率などを調べることで、いろいろなことが判断できるからだ。

(つづく)

 
(後)

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