HOME > 国際 > 中国経済新聞に学ぶ~孫政才がなぜ突然拘束されたのか

国際

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2017年08月03日 07:02

中国経済新聞に学ぶ~孫政才がなぜ突然拘束されたのか

突然の免職

 中国共産党第十九回大会を前に、中国各省で党委員会書記の交替が行われているが、当初、陳敏爾は貴州省を離れて広東省へ配属され、胡春華に変わって省党委員会書記になると噂されていた。その理由は明快で、貧困地区の書記を務めた後、経済が最も発展した、そして香港の安定にも関係する広東省で党委員会書記を務めれば、陳敏爾の政治家としてのキャリアに良好な整合性が取れるからだ。

 しかし、だれも想像しえなかった意外な事態が発生した。

 7月15日、中国共産党第十九回大会を前に、前途有望とみられていた中国共産党中央政治局委員、重慶市党委員会書記の孫政才が突然免職され、拘束された。孫政才は14日に金融業の会議に出席した際に中央規律検査委員会に調査のため連行されたという。孫政才の調査は妻の案件に関係している。孫政才の妻と前中国共産党中央弁公庁主任・令計劃の妻・谷麗萍はいずれも民生銀行婦人クラブのメンバーである。彼が抜擢した重慶市副市長・沐華平の腐敗案件に再び巻き込まれている。そしてこの前に、中央規律巡査グループは孫政才率いる重慶市の「薄熙来の悪しき遺産」の粛正に対する努力が不足していると考えていた。

 今年で54歳になる孫政才は農学博士である。北京農業科学院の副院長を務めたのち、1997年に政界入りし、43歳で農業部長となった後は、吉林省党委員会書記に就任し、中国共産党第十八回大会の政治局委員にも当選した。2012年に重慶市党委員会書記・薄熙来が逮捕されて間もなく、孫政才は重慶に緊急配属され、同市党委員会書記を臨時で担当していた張徳江(後の全国人民代表大会委員長)の代わりに、この問題の多い薄熙来の古巣の施政を担当することになった。薄熙来の気炎に比べて、孫政才の重慶での施政は控えめで、書生気質が感じられた。外部の分析では彼は中国共産党の将来の注目の後継候補とされていた。

花形都市・重慶の施政、主役は誰に?

 孫政才の突然の拘束後、だれが重慶を施政するのか?陳敏爾が習近平の命令を受けた。
 孫政才が連行された翌日、陳敏爾は重慶に到着し、彼を重慶市党委員会書記に任命する幹部会に出席した。
 中国にわずか4つしかない直轄市の1つとして、かねてより重慶市は中国トップ層に重視されており、長らく中国の高位幹部にとって政治的意味をもつ花形都市とされてきた。そして重慶市党委員会という職務に就任した者は、往々にして中国共産党政治局委員に昇進し、その後の前途も有望視される。慣例にならえば、陳敏爾も4カ月後の中国共産党第十九回大会で中央政治局入りするだろう。

 陳敏爾の政治的優位はどこにあるのだろうか?まずは年齢だ。1960年生まれの陳敏爾は現在57歳で、中国政界にわずか3名しかいない「60年代生まれ」の省党委員会書記の1人である。近年、中国での高位幹部抜擢が「若年化のみ」を追求しなくなっているとはいえ、やはり「年齢」は政治的前途をはかるうえで重要な指標となる。若さは優位であり、将来の政治競争において一歩先んじることを意味する。

 次に、彼が習近平主席の絶対的な信頼を得ていることだ。今年の4月20日、中国共産党貴州省党代表大会の閉幕当日、習近平は貴州において満場一致で第十九回大会の代表に当選した。ここ十数年で、習近平は全国代表に立候補する選挙区を初めて上海から貴州に移した。外部ではこれを中国共産党から陳敏爾に対する支持のサインとみている。

 中央規律検査委員会書記・王岐山が「神隠し」から40日近くが過ぎた6月22日に貴州で姿を現し、習近平の核心的地位の維持、そして第十九回大会を迎えるにあたっての「政治の生態保護員としての務め」について語ったことが、この予想をいっそう強化している。王岐山はおそらく中央を代表して貴州省党委員会書記である陳敏爾の政治的監査を行ったのではないだろうか。

 中国の高位幹部に対する監査において、経済のイノベーションと人々の生活の向上・貧困対策が重要な指標とされる現在、浙江のラベル、政界の新星、そして「60年代」の若さという特徴を持つ陳敏爾は、地方での十分な実績も持ち、中央トップ層の明確な信頼も得ている。中国共産党第十九回大会は彼の政治生命の新しい起点となり、彼が未来の主要な指導者の1人になるための硬い基礎を築くことになるだろう。


中国経済新聞を読もう

<連絡先>
■(株)アジア通信社
所在地:107-0052 東京都港区赤坂9丁目1番7号
TEL:03-5413-7010
FAX:03-5413-0308
E-mail:china@asiahp.net
URL:http://china-keizai-shinbun.com

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2017年08月18日 15:37
NEW!

天神4丁目の第1明星ビルが解体へ

 第1明星ビルの解体工事が始まった。解体後の用途は不明ながら、建替えが検討されているようだ。第1明星ビルは、2月に(独)住宅金融支援機構から貸ビル業の明星ビル(株)(福岡 ...

2017年08月18日 15:21
NEW!

9gatesの大名ビル、気になる用途変更後の行方

 福岡市中央区大名2丁目に誕生したシェアオフィス「Co-work&Share.H」。東京から九州初進出を遂げた不動産コンサルティング会社の(株)ナインゲーツ(本社:東京都 ...

2017年08月18日 13:42

福岡発の有料老人ホーム「アビタシオン」が千葉・木更津市に

 1984年6月、博多区金の隈に『アビタシオン博多Ⅰ号館』を開設以来、33年にわたって高齢者へ向けた医療・介護などのサポート事業を展開する(株)アビタシオン。年々事業を拡 ...

日航ジャンボ機墜落事件炭化遺体と軍用燃料

 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、1985年に群馬県山中(御巣鷹山)に墜落した日航機123便にまつわる疑 ...

2017年08月18日 10:59

芝浦グループホールディングス、新社長就任

 芝浦グループホールディングス(株)(所在地:北九市小倉南区)は8月1日、新社長就任と新たな役員の陣容を発表した。  新たに代表取締役社長に就任したのは新地洋和氏。197 ...

pagetop