【日建連九州支部】建設業を魅力ある産業へ(前)
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(一社)日本建設業連合会 九州支部
支部長 西河 誠 氏(一社)日本建設業連合会(以下、日建連)九州支部はスーパーゼネコンをはじめ、九州管内で施工を行うゼネコン59社が所属する団体。九州支部では現在、大成建設(株)九州支店理事支店長・西河誠氏が支部長を務めている。当会はどのような目的で設立され、九州支部では現在どのような活動を行っているのか。西河支部長に話をうかがった。
施工側の代表として、発注側との連携・協議を行う
──日建連の設立の経緯をお聞かせください。
西河 当会は「(社)日本建設業団体連合会(旧・日建連)」「(社)日本土木工業協会(土工協)」「(社)建築業協会(建築協)」という3団体が合併して設立したものになります。
合併以前の3団体は、それぞれ固有の特徴、歴史的な経緯をもち、長年の活動を通じて、建設業界の発展、さらには社会的評価の向上に努めておりました。一方で、大手建設企業はそのほとんどが土木分野と建築分野を車の両輪とする業態を選択しており、建設業団体においても、土木・建築一体の活動を展開することにより、建設業界の内外はもとより、国民各層からもよりわかりやすい建設業団体となることを目指して、公益法人制度改革にともなう法人形態の移行に先行し、日建連を存続団体として合併いたしました。
そこで、2011年4月1日に3団体が合併し、社団法人として設立(13年度に一般社団法人に改組)。今年4月で発足から13年目を迎えます。
主たる会員企業は総合建設業者、いわゆるゼネコンになります。建設業に関わるさまざまな問題に直面するなかで、場合によっては国や行政の力が必要になるときがあります。こういった場合の政府や国交省などの官庁との連携、または協議の実施を行っています。これらは基本的に本部の役割となりますが、九州支部としても九州地方整備局(以下、九地整)との意見交換など、行政との連携を常に行っています。
──九州支部の特徴はあるのでしょうか。
西河 本部の方針に基づいて各支部が基本の活動を行っていますが、なかでも当支部の管轄である九州は自然災害の多い地域となりますので、災害対策・復旧工事支援の活動が多くなっています。大型の災害などが発生した際、地元業者での対応では手が回らないという場合に、当支部へ要請が入ります。九地整から工事要請が入ると、九州支部の会員企業59社に案内をかけるという流れです。最終的な決定は九地整が行いますので、当支部は調整役という立場です。
最近では熊本地震において活動要請があり、このときには被災した高速道路の開通のための橋脚補修を依頼されました。堤防決壊の復旧工事など、地場の建設業者での対応が可能な場合は日建連への協力要請はまれですが、あまりにも範囲の広い被害エリアとなっている場合には修復を要するエリアも大きくなるために、当支部へ要請が入ります。このほか、西日本高速道路(株)(NEXCO西日本)や福岡北九州高速道路公社からの高速道路復旧作業が要請されたケースもあります。
また、九州では大型工事が相次ぎ、資材や人材の不足が問題視されたこともありました。そういった場合にも、日建連会員企業のもつ他拠点からの調達が対策として可能となります。
建設業に触れる機会を創出する
──災害対応のほかにも、建設業の技術や知識の拡充にも取り組まれています。
西河 「安全環境委員会」では、会員企業向けに「交通」「地下埋」「火薬類」「環境」という4種類の講習会を開いています。また、「建設技術講演会」では九地整職員を講師に招き、定期的に開催しています。こちらは会員企業のほか、(一社)建設コンサルタンツ協会や(一社)福岡県建設業協会などから100名程度が参加していただいております。
また、国際会議場で毎年開催されている「建設技術フォーラム」の実行委員会には当支部も参画しており、九地整をはじめとした官庁や民間団体などとの間で連携を図りながら運営しています。
これらのような建設業従事者向けの講習会だけでなく、一般の方に建設業を知ってもらうための取り組みも行っています。長崎大学では毎年「インターンシップ講演会」を開催しており、長崎大学出身の会員企業の社員の方がこの講演会で話者を務めています。当支部のほかにも官公庁やコンサル会社からも参加しますので、世の中で行われている工事において発注者・施工者がそれぞれどのようなことを行っているのかを両サイドから聞くことができる、一種の就活イベントになっています。
セミナー形式以外では、咋年12月に鹿児島県の大成建設・大豊建設JVが施工する「鹿児島3号線東西道路シールドトンネル(下り線)新設工事」で高校生向けの現場見学会を行いました。大型のシールドマシンの組み立てというのは、一般の方はまず目にすることができないものです。この現場で初めて、自分たちの街の下をどのようなものが掘削していくのかを目の当たりにした人が、ほとんどだったと思います。
昨年はコロナ感染状況に鑑みて「親子現場見学会」の開催は叶いませんでしたが、こちらのイベントではさらに若い層に建設業を知ってもらうために、小学生とその保護者向けに見学会を開催していました。
これらのイベントの開催目的は、やはり「担い手確保」です。発注者・設計者・施工者のそれぞれがどのような役割をもっていて、工事がどのように進んでいくのか。一般の方にとっては難解なこの部分を実際に目で見て、そこで働く人たちの話を直接聞くことによって親近感をもっていただきたく、今後も継続して開催していく所存です。
(つづく)
【杉町 彩紗】
<プロフィール>
西河 誠(にしかわ・まこと)
1962年8月福岡県生まれ。大成建設(株)九州支店建築部長などを経て、2022年4月より同社九州支店理事支店長、(一社)日本建設業連合会九州支部支部長に就任。月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?
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