日本版CCRC目指す 姶良市に「WellBe Club」がオープン
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(医)玉昌会は鹿児島市内を主な医療圏に、慢性期医療を担っている。法人を代表するのは充実した透析医療で知られる高田病院だが、同法人内の加治木温泉病院(姶良市)も、質の高い高齢者医療を提供することで定評がある。玉昌会は今年11月、加治木温泉病院の医療圏内に、健康施設「WellBe Club」を開設した。
(医)玉昌会は創立60周年を迎える2018年に併せて、その前後3年間で同法人が拠点を置く鹿児島市と姶良市エリアで記念事業を計画している。鹿児島市内では、玉昌会ほか3法人が合同で、高麗町の交通局跡地を活用した事業計画を進めることが16年2月に決定した。多世代交流複合施設「キ・ラ・メ・キテラス」は、19年に竣工する予定だ。
姶良市では17年11月11日に「WellBe Club」(ウェルビークラブ)をオープンした。07年に閉館した旧厚生年金施設・サンピアあいらの跡地を利用したもので、温泉などを備えた健康施設として、姶良市エリアにおける玉昌会記念事業構想の核となる予定だ。
玉昌会が進める両計画の土台になっているのは、同法人・高田昌実理事長が提唱する「JOYタウン構想」だ。同構想は、「日本版CCRC」を実現するために、同法人が九州大学の馬場園明教授(大学院医学系学府)と共同で進めてきた研究成果をまとめたもの。「CCRC」は、「Continuing Care Retirement Community」の頭文字で、退職後の高齢者が継続したケアのもとで暮らす共同体(まち)を意味する。JOYタウン構想は内閣府が進める地域創生事業「まちひとしごと創生本部」内有識者会議(15年)において、「日本版CCRC構想の参考事例」として取り上げられた実績もある。
日本版CCRCでは、首都圏など人口集中地域に住む高齢者に対して地方移住を促し、人口緩和策と地域活性化を両立させる方針だ。JOYタウン構想は、地域包括ケアシステムを病院中心のまちをつくることで完結させる計画で、介護、医療、予防医学などで高齢者の生活をサポートする。当初は県出身高齢者を姶良市に呼び込む計画だったが、現在は方針転換しているという。
「世代を限定せずに、多様な方々に移り住んでいただきたいのです。ノーマライゼーションといえば堅くなりますが、さまざまな背景をもった方が触れ合う場所こそ、『まち』です。そのために、住民の集まる場として、温浴施設やフィットネスクラブをつくりました」(高田理事長)。
姶良市の人口は約7万5,000名。県内でほぼ唯一の、人口が増えている自治体だが、5年後には人口減少に転じることがわかっている。「人口減時代の施策は、人口が増えているときにしかできない」と語る同理事長は、新しい住民のために敷地内の一部を宅地としてセキスイハイムに分譲した。
今後、WellBe Clubの敷地内(3万3,500m2)に加治木温泉病院を移転し、通路を結ぶなどして、地域の医療・福祉を総合的に支える拠点としての機能を強化する予定だ。住民からの期待は高く、フィットネスクラブは、オープンしてすぐに420名が会員登録している。
「高齢者から子どもまで、さらに障がいのある方であっても、人生を楽しむために健康が最も重要だと考えています。当法人は、そのお手伝いのために、このエリアの医療機能を守りたいと思います」(同)。
【小山田 浩介】
<プロフィール>
高田 昌実
鹿児島市生まれ。1984年、聖マリアンナ医科大学卒業後、鹿児島大学医学部第2内科入局。87年、鹿児島大学医学部第2内科。97年、医学博士号取得。98年、(医)玉昌会理事長就任。2014年、(医)玉昌会加治木温泉病院院長。関連記事
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