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2016年06月09日 14:02

知佐被告人に無期懲役を求刑~筑後リサイクル店殺人初公判

 福岡県筑後市のリサイクル店を経営していた夫妻が殺人罪、傷害致死罪などで起訴された事件の裁判員裁判が6月9日、福岡地裁(平塚浩司裁判長)で開かれ、検察側は、妻の中尾知佐(ちさ)被告人(47)に無期懲役を求刑した。弁護側は弁論で、殺人罪と傷害致死罪は成立しないとして無罪を主張した。判決は6月24日に言い渡される。

 検察側は、求刑にあたって、2年余りで3名の生命を奪い、残虐かつ苛酷な長期間の虐待、徹底的な隠蔽工作という事件の特徴を指摘し、死刑選択もあり得ると指摘した上で、殺人罪としては1件のみであることなどから死刑がやむを得ないとするには躊躇せざるを得ないとして、無期懲役に処すべきだと求めた。

fukei 検察側によると、知佐被告人と夫の中尾伸也被告人(45)が共謀して、元従業員ら4人を虐待死させた。死んだ4人のうち、2004年6月下旬に死亡した元従業員の日高崇氏(当時22歳)の殺人、2006年10月に亡くなった義弟の冷水一也氏(当時33~34歳)とその息子の大斗君(当時4歳)の傷害致死で起訴された。日高氏より先の2004年5月末~6月中旬に亡くなった元従業員(当時19歳)については、傷害致死の時効が成立しているため起訴されていない。

 検察側は、「日高氏を、助けを求め難い状況に置き、長期間にわたり、暴力、生存条件を制限して苦痛を与え続けた点で残虐」「一也氏に、悪化した部位に繰り返し暴力を加えており、殺人事件に匹敵するほどの危険性があり長期間にわたり、肉体的、精神的苦痛を与え続けた点で残忍」「無防備で抵抗できない4歳の大斗くんを一方的に殴る無慈悲な犯行で、しつけの域を超えた執拗かつ危険な暴力」と述べ、徹底的な隠蔽工作を行ったことも「厳しく非難されるべきだ」と指摘。情状について、「反省の情皆無で、人命軽視の思考が顕著」「他人の痛みに冷淡で共感することがなく、常軌を逸した自己中心的な人格態度」だとして、再犯のおそれ大だとした。

 弁護側は、一也氏の死亡について、死亡原因である暴行と普段の体罰は異質なものとし、伸也被告人と一也氏の妻の激しい暴行によって死亡したもので、共謀があったとする伸也被告人の証人として証言は不自然で自分を庇おうとしているとして、信用性を否定。体罰とは異質な暴力については、知佐被告人は伸也被告人と共謀しておらず、知佐被告人の傷害致死罪は成立しないとした。大斗くんの死亡については、キレた伸也被告人の強力な裏拳一発で急死した可能性が否定されていないとし、知佐被告人についての傷害致死罪は成立しないと弁論した。
 日高氏の殺人については、5月30日の弁論で、知佐被告人は殺人を指示しておらず、伸也被告人がキレて暴行したものだとして、殺人罪の成立を否定し、無罪を主張していた。

 知佐被告人は最後に、裁判長ら向かって、「私なりに後悔している。娘に恥じないようにと心に決めてのぞんだ」と述べ、「私は引き返せるところにいながら引き返しませんでした。申し訳ございませんでした」と謝罪し、証言台の前で深々と頭を下げた。

 夫の中尾伸也被告人(45)は別々に審理され、初公判は6月27日に開かれる予定。

【山本 弘之】

 
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