2024年05月04日( 土 )

九州地銀の第1四半期(17/3)を検証(4)

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3.九州地銀の当期純利益について
(1)九州地銀の17年3月期 第1四半期の当期純利益順位表
 日銀が1月に実施したマイナス金利政策の影響を受け、18行のうち13行が前年同期比マイナスとなっており、赤字の銀行も出るなど、厳しい第1四半期決算となっている。【表1参照】

<この表から見えるもの>
 第1位の福岡銀行は161億円2,800万円(前期比▲2.8%)と小幅な減少となっており、ただ一行だけが100億円を超える当期純利益を上げている。
 第2位は西日本シティ銀行の75億7,700万円(前期比▲25.9%)。福岡銀行の半分以下となっており、地力の違いが表れているようだ。
 第3位は鹿児島銀行の42億2,100万円(前期比▲20.7%)。第4位は同じ九州FG傘下の肥後銀行は41億7,800万円(前期比▲36.2%)となり、順位が入れ替わった。4月に発生した熊本地震の影響を受けて、九州FGは決算短信を発表した5月13日、17年3月期の連結業績予想を保留。2月半後の7月27日の発表に、その深刻さが読み取れる。
 地震の影響が最も大きかったのは、ふくおかFG傘下の熊本銀行。第1四半期の当期純利益は▲8億1,000万円。もし単独行であったならば、大きく取り上げられていたかもしれない。
 上位行では、第5位の大分銀行が+3.3%。第6位の十八銀行が+6.9%と、前期比プラスでスタートしているのが目立つ。中位では北九州銀行が31.3%の大幅な増加となっているが、はたして17年3月期は予想通りとなるかどうか。新頭取に就任した藤田光博氏の手腕が試されることになりそうだ。
 下位行では豊和銀行が前期比1億8,000万円増の2億8,900万円(前期比165.1%)と大きく改善しているように見えるが、下表の通り過去の推移からは厳しい状況であることがわかる。

(2)ふくおかFGと九州FGの収益力について
・16年3月期のふくおかFGの当期純利益は447億1,800万円。一方、九州FGは1,084億7,100万円だったが、このなかに肥後銀行と鹿児島銀行との経営統合にともなう負ののれん発生益884億8,700万円の特別利益が含まれている。したがって、これを差し引くと実質は199億8,400万円で、ふくおかFGは九州FGの2.24倍。しかし16年6月期の当期純利益は、ふくおかFGの145億円に対し、九州FGは55億円で、2.62倍。また通期の予想収益についても2.76倍となっており、
熊本地震が九州FGに大きな打撃を与えているのが分かる。【表2・3参照】

<まとめ>
 第1四半期決算では、前年同期比プラスの銀行は5行あるが、17年3月期(通期)では18行のうち、親和銀行・北九州銀行の2行を除く、16行が前期比マイナス予想となっている。大分銀行は8月8日に当初の収益予想を上方修正したが、今後、上方修正する銀行が増えるのか。それとも下方修正する銀行が増えるのか。それはひとえに、これから日銀が繰り出す次の一手次第と言えそうだ。

(つづく)
【北山 譲】

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