2024年04月29日( 月 )

下水汚泥固形燃料、その秘めたる力とは

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 10月31日、福岡県建築都市部下水道課発注の「御笠川那珂川流域下水道御笠川浄化センター下水汚泥固形燃料化事業」を電発・月島・三笠JVが96億2,400万円で落札した。では、この「下水汚泥固形燃料化」とは何なのか。

 排水処理や下水処理の過程で発生する泥状の物質、これを下水汚泥と呼ぶ。下水処理場で発生するこの下水汚泥は、量・質ともに安定しており、バイオマス(再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの)として注目を集めている。この下水汚泥の燃料化方法として、乾燥させて石炭のような固形燃料として利用する、気化させバイオガスとして利用するなどの方法がある。発電に活かせば、年間約40億kWh(約110万世帯の年間消費電力量に相当)のエネルギー供給も可能(国土交通省(以下、国交省)公表資料による)とされる。
 また、国交省によれば下水道の維持・管理費に年間約9,000億円かかり、その内、下水汚泥の処分に約5%(約450億円)の費用負担が発生している。
 国内で消費される石炭の9割以上を海外からの輸入に頼る日本にとって、下水汚泥はエネルギー自給自足の一助となる可能性を秘めている。エネルギー源として活用すれば処分費用の軽減にも繋がる。

 しかし、この下水汚泥はゴミ処理される割合が高く、エネルギー化の促進は順調とは言えない(2014年時点でエネルギー利用率約15%にとどまる)。こうした状況のなか、国交省は14年に下水汚泥固形燃料のJIS化を実施し、市場の活性化に取り組んでいる。冒頭で紹介したように、福岡でも関連事業の大型案件が動きはじめた。今後新エネルギー源として、さらなる周知の徹底・活用が進むことが期待される。

【代 源太朗】

 

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