2024年05月07日( 火 )

福岡工場の閉鎖にともない売却話が浮上~日之出水道機器(株)

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 マンホールの鉄蓋(グラウンドマンホール)の製造販売で国内トップの業績を持つ日之出水道機器(株)。1919年6月創業、48年5月に(株)日之出商会として設立された老舗企業である。同社の大きな転機は61年に日本で初めてダクタイル鋳鉄(組織中のグラファイト(黒鉛)の形を球状にして強度や延性を改良した鋳鉄)を使用したグラウンドマンホールの開発製造に成功したこと。関連する特許を多数保有したことで業績は飛躍。売上高は350億円近くまで上伸し、業界で高いシェアを誇った。

 だが、2005年12月に独占禁止法違反の疑いで公正取引委員会から立ち入り検査を受けたことで状況は一変。各地方自治体が製造企業指定の見直しを図り、以前のような優位性は保てなくなったのだ。過去の蓄積もあり現在でも強固な財務内容を持つが、直近では2期連続で営業損益段階での赤字を計上するなど、精彩を欠く。

 このような状況に加えて、過去の業績を支えた太宰府市北谷の福岡工場に売却話が浮上している。この工場は約1万7,000平方メートルの敷地面積をもつが、16年3月末に閉鎖された。大規模な生産ラインや物流センターを併設した佐賀工場や栃木工場を有し、さらなる生産効率化を推し進める同社にとって、この工場の役目は終わったように見える。

 かつて高収益企業として栄華を誇った同社だが、現在は採算面で苦慮している。業績の低迷に加えて資産売却話が出てきたことで、今後の動向が注目されている。

福岡工場跡地

工場閉鎖のお知らせ

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<COMPANY INFORMATION>
代 表:浦上 紀之
所在地:福岡市博多区堅粕5-8-16
設 立:1948年5月
資本金:2億7,000万円
売上高:(16/6)241億6,929万円

 

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