2024年05月04日( 土 )

糸島みるくぷらんと、新工場8月稼働~糸島の酪農家が作る「伊都物語」自社製造拡大へ

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 牛乳やヨーグルトなどの乳製品ブランド「伊都物語」の製造販売を手掛ける(株)糸島みるくぷらんと(本社:福岡市西区、宮崎英文代表)は8月、糸島市篠原に新工場を稼働させる。新工場の延べ床面積は約920m2で、1日約4トンのヨーグルトを生産することが可能。本社工場で生産しているヨーグルトは1日約2トンで、新工場は2倍の生産能力を有することになる。これまではヨーグルトと一部商品のみ自社工場で製造していたが、新工場の稼働によりこれまで他社に製造委託していた商品も製造が可能となる。また、ジェラートなどの新製品も開発予定だ。今回の工場新設は、国の6次産業化ネットワーク活動交付金事業として実施。補助金は1億円となる。同社担当は「今回の工場新設で、こだわりの商品を一貫して自社で製造したいという夢に向かって一歩前進することができました」と話す。
 同社では設立時より「糸島の酪農家が作る乳製品」を強みに、販路を拡大。価格帯は高めだが、高品質な製品で一定のファンを獲得。近年、ディスカウントストアなどの台頭で他社製品の多くが値崩れするなか、価格を変更せずとも落ちない人気が、同社の商品力の高さをうかがわせる。近年では関東圏の百貨店などからも声が掛かる。

 同社が設立されたのは1992年4月のこと。当時は牛乳の生産調整が行われ、一定量を超える牛乳は廃棄しなければならなかった。せっかく育てた牛の牛乳を処分することを残念に思った糸島の酪農家たちは、自分たちでブランドを立ち上げることを考案。旧糸島郡の酪農家33名と酪農組合が出資者となり(有)糸島みるくぷらんとが立ち上がった。最初は牛乳のみを他社に委託して他社に委託して製造していたが、お茶などのペットボトル飲料の台頭で牛乳の消費が低下。そこで製造を始めたヨーグルトが現在の一番人気商品となっている。
 同社の製品の特徴は、なんといっても「生産者の顔が見えるところ」。一般に流通する乳製品の多くは、複数の酪農家から仕入れた牛乳をブレンドして生産される。同社は1つの製品に1つの酪農家を指定。原料のブレンドを行わないため、安定した味の製品を生産することができる。「酪農家さんたちは牛に大きな愛情をもち、飼料の1つ1つにもこだわりを持った環境で飼育しており、非常に信頼しています。牛に対する愛情の深さが、味に表れるのではと感じています」。と同担当者は話す。

 同社の商品はスーパーマーケットや百貨店のほか、通販や直営店でも販売される。直営店「伊都楽」(福岡県糸島市)、「ファーマーズデザートショップ伊都物語」(福岡市西区)では、オリジナルアイスクリームが人気を博している。

 同社担当は工場新設に対し、「今後はより多くのお客様に糸島のミルクを届け、糸島市全体の活性化に貢献したいと考えています」と意気込みを見せた。

 「一番大事なことは、新工場の稼働への切り替えで商品を待ってくださっているファンのみなさまにご迷惑をかけないことです」(同担当)。新工場は今月24日(土)に竣工式を決行、26日から試運転の開始を予定している。8月の本稼働まで、入念なチェックを施す。

<COMPANY INFORMATION>
代 表:宮崎 英文
所在地:福岡県福岡市西区周船寺1-13-4
設 立:1992年4月
資本金:2,000万円

 

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