2024年05月03日( 金 )

病のもとを改善する特針~笑顔溢れる長尾治療院

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 「病気は症状が改善されても病気が治ったとはいえません。病気が完全に治っても、病気にかかりやすい体質を改善しなければ、再び発病する可能性が十分に考えられます。私たちは1人ひとりにオーダーメイドの治療を行いながら、患者さんの病気にならない体づくりを特針(とくしん)という技術でお手伝いし、とことん根治を目指します」

 土曜日の午前中。唐津市役所の裏にたたずむ長尾治療院には数多くの患者さんがベッドで鍼治療を受けていた。長尾良一院長は次々と患者さんに声をかけ、鍼やあんまを施していく。

「この人、重度の糖尿病だったんですよ。糖尿が原因で足を切断しなくてはならないほど弱っていました。私のところに来た時にはわらをもつかむ気持ちだったんじゃないかなぁ。それがほら、見て。今はしっかり歩いていますよ」

 長尾院長が施す鍼は「日中特種針法」(にっちゅうとくしゅしんぽう。特針)と名付けられたもの。日本に古来より伝わる特種針法と中国の特殊針法の両方を研究し、体系としてまとめた特殊な技術だ。長尾院長は父・長尾松造氏の鍼灸技術を受け継ぎ、さらに独自の鍼灸治療の要素を加えて、今なお工夫を重ねている。この技術を発展、普及させるために1991年には日中特殊針法研究会を発足させ、日本、中国の間で技術の交流を重ね、切磋琢磨してきた。研究会ではなかなか見ることができない秘技も披露、特針の発展に大きく寄与したという。そして、願いは患者さんが元気になること。これまでに63万人もの患者の治療を手がけてきた。

中国で講演する長尾院長

 「高齢社会の現在、私は心から『親の尊厳を保ち続ける』ということを願っています。年をとると家族の手助けが必要になることもあると思いますが、できる限り、最期のときまで尊厳を保つことができることこそ、人生においてとても大切なのではないかと感じています。私たちは鍼や灸を通じて、そのお手伝いをさせていただきます。昔は強かった父親が、年をとって威厳が損なわれるということはとても悲しいですからね」

 長尾院長はにこやかにそう語った。長尾治療院に並ぶベッドはカーテンなどで区切られていない。男女関係なく、背中を晒して針を打ってもらう、灸を据えてもらう。団らんするように患者同士は会話を楽しんでいる。その患者たちの間を縫うように長尾院長が行き来する。声をかける。とにかくにぎやかな治療院なのだ。来院していた患者はいう。
 「私はひざの軟骨が擦り減ってしまって、曲げ伸ばしが痛かったのですが、ずいぶんと改善しました。それは治療のおかげですが、それだけじゃなくて、ここに来て先生の顔を見ると、自然と元気になるんですよ。がははは!」

 笑顔があふれる治療院。長尾治療院には、その言葉がぴったりだと感じられた。

【柳 茂嘉】

<INFORMATION>
長尾治療院 日中特種鍼法研究会本部
所在地:佐賀県唐津市西城内6-7
TEL:0955-72-7243
受付時間:午前8時~10時30分、午後1時30分~6時(要予約)
休診日:日祝祭日(地方講演などで臨時休診することがあります)
URL:http://nagao-chiryouin.jp/

 

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