2024年05月15日( 水 )

従業員が安心・楽しく働ける環境が、福岡をつくる――「ふくや」

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 1948年に創業し、今年10月で創業70周年を迎える辛子明太子の「ふくや」。福岡を代表する企業の1つである同社は、1月に正社員退職者の再雇用制度を導入した。

 同制度は今年1月以降の正社員の退職者に「復職往復切符」を発行し、本人が希望すれば再び正社員として復職することが可能な制度だ。切符の有効期限は発行日(退職日)から3年だが、期限内に復職できずとも本人からの希望があれば3年ごとに延長できるようになっている。復職までの期間などは人によって異なるため、待遇面や条件は各個人で異なる。

 同制度を導入した理由は、商品知識やふくやへの理解がある即戦力の確保だけではないという。同社人事担当は、「ともに働いていた元社員と、縁があるのならば再度一緒に働きたいという思いが大きい」と話す。

 このため、他社の再雇用制度では退職理由が介護や育児などの家庭の事情であること、在籍期間が3年以上など、対象となる条件に縛りがあることが多いが、同社では、退職理由や在籍期間にとくに条件は設けず、退職者が戻ってきやすいように窓口を広げる。

 ふくやは、子育てと仕事の両立を目指し、従業員を応援する宣言「福岡県子育て応援宣言」企業の認定第1号でもある。同社はパートなどを含め、女性が多い。女性がいきいきと安定して働ける環境を整えることで、ふくや自体の活気につながる。

 産休・育休を取得する女性従業員も年々増加し、産休取得率、復帰率ともに非常に高い。復帰後は残業の有無や土日休み、就業時間帯など6つの勤務形態から、働き方を選択することができる。共働きを選択する夫婦にとって、子育てをしながら無理なく働ける環境は強い味方となっている。

 「すべての従業員が持ち味を生かし、いきいきと働ける環境を作っていきたい」と、同社人事担当者は語る。社員の活性化は企業の活性化につながる。ふくやが活性化することで福岡が活気づき、さらに全国に福岡の良さを伝えていきたい考えだ。

 福岡を愛し、明太子の製造販売を通じて、地域のために奮闘し続けた創業者・川原俊夫氏。経営者や幹部だけでなく、全従業員が共通認識として創業者の商売に対する思い、地域に関する思いを受け継いでいる。多くの企業が新卒や若手の離職率の高さに悩むなかで、同社の3年以内の離職率が非常に低いのも、全員がこれらの信念を共有しているからだろう

 福岡とともに歩み続ける老舗明太子メーカー「ふくや」。従業員の就労環境づくりからも、地域活性化の一翼を担う。

ふくや中洲本店と人事課の中山氏

 

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