2024年04月20日( 土 )

インターネットセキュリティの切り札「LiPEX(ライペックス)」(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 中国では、ほとんどの決済はスマホ決済になっているが、その際にスキャンされるQRコードがハッキングされ、店舗に支払ったつもりのお金が別の人に渡されたというような被害も続出している。このような被害にあわないために、普段からインターネットを利用する際に、セキュリティの意識を高める必要があるとされる。しかし、セキュリティ分野は専門的な内容が多く、一般人が聞いても内容を把握するのが難しい。それに、セキュリティは収益をもたらさないコストファクターなので、政府や企業でも大きな被害にあわない限り、事前にセキュリティ対策を講じるのに消極的である。

 現在、世の中には監視カメラなどがものすごく普及しているし、ドローンの普及も今後予想されているが、その映像に対するセキュリティ対策はなく、映像の流出が社会問題になったりすることもある。さらに、現在はLINEなどのSNSが日常化されている。LINEで情報をやり取りしたり、写真を送ったりする。しかし、そのような情報はセキュリティ対策が講じられていないのが現実である。そのような状況のなかで、今までと全然違う発想で暗号化に成功した企業があって、全世界から注目を集めている。
(株)H&BIT(代表取締役白基泳「ベク・キヨン」)である。今までの暗号化は、データを暗号化すると、容量が増えてしまう。それで、映像などはもともと大容量なので、リアルタイムに暗号化する方法が存在しなった。しかし、同社の暗号化方式は容量が増加しないので、映像のリアルタイム暗号化に適している。

 同社の商標でもあるライペックスの技術は、暗号化にとてもシンプルな原理を利用している。データまたはファイルを分割して、混ぜる方式である。たとえば、写真なども暗号化すれば、写真を盗まれて他人がそれを見ても、わからないようになっている。すなわち、LINEなどで写真を送る際に、暗号化して送ると、当事者以外は誰も見ることができない。写真をアップロードしたら管理者は写真を見ることができるが、管理者もこれからは写真をみることができず、完璧なプライバシー保護が可能なわけだ。
日本では業界でも有名なF社が文書管理にこの方式の採用を検討している。開発者である白社長の話では、全世界のコンピューターを全部動員しても、この暗号化はハッキングできないという。ライペックスはハッキングで大きな問題になっているQRコード問題の解決にもなるという。ライペックスは基盤技術であり、ブロックチェーン技術との融合など、活用方法はいくらでもあるという。ライペックスが今後どのような展開をするのか楽しみである。

(了)

 
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