2024年04月24日( 水 )

破産から一転、民事再生申請へ 仮想通貨ビジネスの異質な破綻(前)

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(株)MTGOX

 仮想通貨取引所を運営する(株)MTGOX(マウントゴックス)が民事再生法の申請を棄却され、東京地裁から破産手続開始決定を受けたのが2014年4月24日。その後、破産手続きが進められていたが、同社が保有する「ビットコイン」の価格が跳ね上がったことで状況は一変。17年11月、一部債権者らが全額に近い配当を得られる可能性があるとして、民事再生法の適用を申請した。

元はカードゲームの交換所

 世界的に人気を博しているトレーディングカード(※1)ゲーム、「マジック:ザ・ギャザリング(Magic: The Gathering)」のオンライン交換所として、2009年にジェド・マケーレブ氏によって創業されたのが同社の始まり。社名のMTGOXは、「M」agic:「T」he 「G」athering 「O」nline e「X」change(マジック:ザ・ギャザリングオンライン交換所)のアルファベットから採ったもの。
 10年にはビットコイン事業に着手し、その後、創業者のジェド・マケーレブ氏がカルプレス・マルク・マリ・ロベート氏に同事業を売却。11年、同社はビットコインの取引所として新たなスタートを切った。

ビットコインブームに乗る

 ビットコインが法定通貨と初めて取引されたのが2009年10月。この時の価格は、1ドル=1,309.03BTC(ビットコイン)。日本円で約0.07円の価値であった。翌10年5月には、ピザチェーン店「パパ・ジョンズ」のピザ2枚と、1万BTCの交換が成立。仮想通貨で現実の商品を購入した、ビットコイン初の決済事例となった。

 徐々に世間に存在が認知され、盛り上がりを見せ始めたビットコイン。黎明期からビットコインの取引サービスを展開していた同社は、世界最大のビットコイン取引所として成長を続け、同社が管理・運営するインターネットサイト「Mt.Gox」は、海外ユーザーを中心に60万人を超える会員を獲得。換金手数料などの収入を中心に、13年3月期には、約1億3,500万円の売上高を計上していた。

 しかし、14年2月初めごろ、ビットコインのシステムのバグを悪用した不正アクセスにより、同サイトにおいてビットコインの送金(ビットコインの引出)ができない事態が発生。その後の調査で、同不正アクセスにより大量のビットコインが盗まれていた(※2)ことも発覚し、同社は同月25日の昼ごろ、正常な事業運営は困難であると判断し、同サイトへのアクセスを全面的に停止した。

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(つづく)
【代 源太朗】


※1 トレーディングカードは、多種多様な絵柄の交換や収集を目的として、販売・配布されることを前提につくられた鑑賞用・ゲーム用のカード。
※2 同社の調査結果によると、2014年2月24日ごろまでに、ユーザーの取引履歴上のビットコイン保有高約75万BTC・同社自身の取引履歴上の保有ビットコイン約10万BTCのほぼすべてがなくなっていることが判明している。

<COMPANY INFORMATION>
代 表:カルプレス・マルク・マリ・ロベート
所在地:東京都渋谷区渋谷2-11-5
設 立:2011年8月
資本金:500万円
売上高:(13/3)約1億3,500万円

(後)

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