2024年04月24日( 水 )

【豊洲市場訴訟】東京都が豊洲市場の鉄筋量不足41%を法廷で認めた!(4)

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(協)建築構造調査機構 代表理事 仲盛 昭二 氏

 技術基準解説書には「柱を支える柱脚の鉄量が柱頭の鉄量と同等以上でなければならない」と規定されているが、本件建築物においては、規定の56%の鉄量となっていることが判明している。東京都は、「建築基準法には鉄量の規定がないので、日建設計が設計した本件建築物の鉄量が56%しかなくても問題ない」という主張をしている。さらに東京都の反論は「56%でなく59%である」と主張しているが、これは「41%不足していること」を東京都が法廷で認めていることになる。

 たとえ1%の不足であっても違反は違反である。それを被告(東京都)は41%も違反していることを自ら法廷の場で堂々と認めた(自白した)のである。たとえば1km〜5km程度のスピード違反であれば「気付かなかった」で許されることもあるだろうが、街なかで41kmものスピードオーバーをするのは明らかな危険行為で、人命に関わる悪質な違反行為として到底許されるものではない。東京都のこの発言は、大切な人命を預かる行政として信じられない無責任極まりない発言である。

 法廷での41%の鉄量不足(耐震強度の欠如)を自ら認めていることは、今回の裁判において最大の問題となっている「Ds」(保有水平耐力計算における構造特性係数)偽装についても当然包含しているし、認めたことになるのである。
 今回の裁判において原告が指摘している設計偽装の主犯である日建設計に関する回答が、被告である東京都から、いまだに何ら回答されていない。これについて東京都が一言もまともな技術反論をしていないということは、自動的に日建設計の犯した罪を追認していることになる。この事実だけは消え去らない。
 仮の義務付け申立に対する決定で却下の理由とされた特定行政庁の長たる都知事と都の施設の所有者たる都知事との関係などがあるにせよ、日建設計の偽装問題だけは、別問題だ。ここだけは、正さなければならない!

 建築基準法は細かい数値などを定めている法律ではなく、いわば憲法のような存在である。具体的な基準・規準・規定などは、建築基準法施行令や告示、条例、命令・通達などにより規定されており、これらを解説したものが技術基準解説書であり、建築確認審査の際に技術基準解説書を逸脱した設計の場合には合理的な説明を求められ、合理的理由がない場合には設計の補正をしなければ確認済証が交付されない。建築の専門家は、このような解説書やガイドラインを守り、学習して設計を行い、建築を行う。従って鉄量のことが建築基準法に規定されていないなどという反論は論外である。以前、本件建築物に関するマスコミからの取材に対して、東京都の建築指導課は「建築確認においては建築基準法以外はチェックしない」と回答しており、この建築確認の実態と相反する回答と整合させるために、裁判でも実態と異なる主張をせざるを得ず、嘘に嘘を塗り重ねている。それほど東京都の主張はずさんものである。
 建築基準法第6条3項に定められた、建築確認の判断基準となる法令などについて建築確認機関に質問をした際の回答を参考までに下記に示す。東京都の主張と正反対であることがよくわかる回答である。

(参考:建築確認機関への質問と回答)

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(つづく)

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