2024年04月24日( 水 )

技術職の人材不足が止まらない~リクルートキャリアが18年12月の転職求人倍率を発表

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依然として高水準の転職求人倍率

 リクルートキャリアは15日、18年12月末日時点の※転職求人倍率(=求人数÷登録者数)を同社HPで発表した。それによると、18年12月の転職求人倍率は前年同月に比べ1.65倍で、17年同月に対し0.27ポイント減となったが依然として高い状況だ。求人数は前年同月比119.5%、登録者数は前年同月比139.1%となり転職市場が活性化していることがわかる。同社広報は「求人数が増加することで、労働者は多くの選択肢を得ることができる。そのため、登録者数も増加する傾向がある」と分析している。

出展:リクルートキャリア

職種別求人倍率トップ3はすべてエンジニア職

出展:リクルートキャリア

 職種別求人倍率では、エンジニア職の人材不足が顕著に表れた。最も倍率が高かったのは施工管理や建設設計などを行う「建設エンジニア」で4.43倍(前年同月比0.3ポイント増)。その後、「(組込・制御)ソフトウエア開発エンジニア」が4.00倍(前年同月比1.0ポイント減)、ウェブエンジニアを含むインターネット専門職が3.92倍(前年同月比2.53ポイント減)と続いた。各職種の前年同月比の求人数、登録者数は下記の通り。

職種  求人転職倍率 求人数前年同月比 登録者数前年同月比
建設エンジニア 4.43倍 118.8% 118.1%
ソフトウエア開発エンジニア 4.00倍 113.9% 142.4%
インターネット専門職 3.92倍 112.2% 184.9%


 3職種とも求人数、登録者数の前年同月比は増加しており、インターネット専門職の登録者数は184.9%と大きく上昇した。

 同社広報は「建設エンジニアの高倍率の要因は、東京オリンピックの影響も多少はあると思うが、バブル期の建物の建替えによる需要拡大とが伸びていることと人材不足による供給不足が大きい」とし、東京オリンピックが終了したとしても人材不足は止まらない見通しだ。またソフトウエア開発、ウェブ関連のエンジニアについては「企業内部の業務や生活環境のIT化に拍車がかかっていることも大きな要因」としている。

「働き方改革」の影響

 現在、どの業界でも人材不足と言われている。とくに技術者業界では、それが顕著である。同社広報担当者は「建設エンジニアの求人倍率が高いのは『働き方改革』の影響も大きい」とし。「長時間労働になることが多く休日も少ない建設業は、『働き方改革』に合わせた就労体系を取るために今まで以上の人材が必要となっているのではないか」とコメントしている。

 ある建設業の中小企業経営者は「技術者は育成に時間がかかるもので、即戦力というのはあまりない。同業者から中途で入ってきても会社の環境、やり方に慣れる必要がある。それに少数で頑張ってもらっている社員に十分な休みを与えたいから、できるだけ早目に人材を集めたいがうまくいきそうにない」と先行きについての不安を語っていた。

【麓 由哉】

※データは同社が提供する転職支援サービス『リクルートエージェント』に基づく。

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