【友利家具中国人社員に聞く】日本式家具づくりの魅力、やりがいとは?(前)
桐郷市友利家具有限公司では、約130名の中国人社員が働いている。友利家具設立後、新たに採用した一般社員もいるが、上海協栄家具有限公司、上海江州工芸品有限公司で実務経験のある社員をスカウト。各工程の責任者には、とくに優秀な社員を起用し、「日本式家具づくり」の中心を担わせている。経験者の多くは上海出身。土着意識が強く、プライドが高い上海人にとって、家族と離れ、浙江省で働くことは、日本人が考える以上に大きなストレスになる。友利家具には、仕事に対する意欲の高い社員が集まっているといえる。彼らはどのような意識をもって、日々働いているのか。16年間の実務経験をもつ許方猛氏、寥文娟氏の2人に話を聞いた。
「ものづくり」の魅力

―アダルでは何年働いているのですか。
許 16年間です。上海協栄家具有限公司の工場からです。
―アダルで働き始めた理由は?
許 協栄家具の工場が完成する際に、社員募集のお知らせが出ていたのを見て応募しました。私の親戚がすでにアダルで働いていたことも、アダルを選んだ理由です。
―工場の仕事にはすぐ馴染めましたか?
許 協栄家具で働き始めて、「ものづくり」の仕事に魅力を感じるようになりました。給料などよりも、仕事が面白いので、今でも仕事を続けています。この仕事が好きです。
図面をもとに、試作品づくり
―担当している仕事は?
許 商品の試作を担当しています。図面をもとに、各部材の寸法、構造、角度などをチェックしながら、試作品をつくっています。完成した試作品は、工場の各工程に回されます。各工程では、部材のカットなど、試作品をもとに、それぞれ必要な作業を行います。その後、各工程から私のところに部材などが回ってくるので、さらにそれらのチェックを行い、図面に書いていきます。商品を量産すると、いろいろな問題が出てくるので、各工程にそれを伝えるのも私の担当です。
―社員を教育することもあるのですか。
許 旧正月が明けたら、社内に新たなグループができる予定です。私は社員を教育するグループを担当することになっています。武野会長から指摘された内容も含めて、いろいろ教えていく考えです。
厳しい顧客にほめられると嬉しい

―印象に残っている仕事は?
許 イスのホゾ取りの仕事です。協栄家具に入って最初にやった作業です。ただの木材を加工することによって、いろいろなかたちの商品ができ上がる。この作業を通じて、その楽しさを初めて知ったからです。
―仕事で嬉しかったことは?
許 お客さまのなかには、商品に対して注文が厳しいお客さまがいます。厳しいお客さまに商品をほめられると、非常に嬉しいです。自分の仕事に満足できる瞬間ですね。
―仕事で失敗したことは?
許 いろいろありますが、たとえば、イスをつくるときに、ネジで止めるための穴の位置を間違えて図面に書いてしまったことがあります。このままでは、イスをちゃんと組み立てることができませんので、補修しました。
自分の工場をもちたい

―仕事には満足していますか。
許 給料などには不満はありますが、仕事が好きなので、全体としては満足しています。
―武野重美会長に対してどう思っていますか。
許 武野会長は経験が豊富なので、いつも正しい指摘をしてくれると思っています。ものづくりの大事なポイントについて指摘をされることが多いです。私に対しては、細かいことについて、何かいわれることはありません。
―今後やりたいことは?
許 私は最初、協栄家具の一般社員として入社しましたが、武野会長のおかげで、工程の責任者として、重要な仕事を任されています。非常にありがたいことだと思っています。これからもアダルのために働き続けたいと考えています。私は現在36歳ですが、45歳になったら、故郷に帰って、自分の工場をもちたいという夢があります。
(つづく)
【大石 恭正】