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2019年04月12日 07:01

2025大阪万博決定で関西ヘルスケア産業が一気に加速! 医療・創薬、IT、金融など新たなヘルスケア・エコシステムを再構築へ!(前)

関西のウェルネス産業が熱い。2018年11月に正式決定した大阪万国博覧会の開催は25年。しかし、実は大阪万博までに、ウェルネス・ヘルスケア産業活性の路線が入念に準備されている。18年に発表された「ウェルネス産業振興構想」は大阪商工会議所が中心に、京都商工会議所と神戸商工会議所を巻き込んだ一大ヘルスケア構想。このマイルストーンとして大阪万博が位置付けられている。加速するこれらの動きを追ってみた。

 

 日本時間2018年11月24日未明、ロシア、アゼルバイジャンとのデッドヒートを制し25年の日本万国博覧会の大阪開催が決定した。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン(Designing Future Society for Our Lives)」。サブテーマは「多様で心身ともに健康な生き方」「持続可能な社会・経済システム」。会場は大阪湾に浮かぶ人工島「夢洲」。会期は25年5月3日~11月3日までの半年間。来場者は2,800万人を見込んでいる。インフラ整備に730億円、会場建設費1,250億円は国、府・市、経済界が3分の1ずつ捻出、運営費は830億円。一方で、経済波及効果は試算値として、関連建設費で約0.4兆円、関連運営費で約0.5兆円、消費支出約1.1兆円、合計2兆円を見込む。

 岡本太郎氏作の「太陽の塔」に象徴される前回1970年の大阪万博は、6,400万人もの入場者を記録。動く歩道やワイヤレスホン、電気自動車など、当時としては未知の最先端技術が紹介され、その後、これら多くの技術が実用化されて社会を大きく変えてきた。64年の東京オリンピック後のマイルストーンとして70年の大阪万博が位置づけられたことも、今回の2020年東京オリンピック・パラリンピックから25年大阪万博へと同じストリームを描くのも興味深い。

大阪万博決定までの道筋

 そもそも大阪万博誘致の発端は、「大阪都構想」の流れを受けて大阪府が15年4月に設置した「国際博覧会大阪誘致構想検討会」だった。5名の有識者委員から「大阪開催の意義・テーマ」についてプレゼンテーションが行われ、「新しい国際博覧会のモデルをつくる」「いのち」「長寿」「調和」「エージレス社会」「住民参加」などのキーワードが示された一方で、「世界規模の人口爆発や超高齢化社会がもたらす諸課題などを踏まえ、1970年の大阪万博を継承し、2005年の愛・地球博を発展継承させるような国際博覧会を2025年の新しいモデルとすべき」との方針が示された。その後、15年5月の住民投票で大阪都構想は僅差否決されたが、国際博覧会大阪誘致構想は脈々と受け継がれていくこととなる。

 これを受けて大阪府の松井一郎知事は、15年8月25日の記者会見で、「世界で問題になっている超高齢化社会をテーマにし、提案型万博を具体的に計画する」方針を述べ、「高齢化社会をどう豊かに生きていくかという課題解決型の万博にしたい。大阪の企業には医薬品、医療機器などを発明、開発できる力があり、長寿、長生き社会に通ずる技術を集めたい」と決意を表明した。その後、16年6月16日に「万博の構想試案」が大阪府から発表された。この時点でのテーマは「人類の健康・長寿への挑戦」。開催詳細にはすでに、現時点とほぼ同規模のものが提案されていた。

 ここからの動きが速かった。16年12月には、大阪万国博覧会の誘致検討に係る関係府省庁連絡会議が設置され、翌17年3月27日には経済界および関西地域の自治体が中心となって、「2025大阪万国博覧会誘致委員会」が設立。会長には(一社)日本経済団体(連)(経団連)の榊原定征会長が就任し、オール・ジャパンの誘致体制が整った。17年4月11日には大阪万国博覧会誘致が閣議決定。4月24日、フランス・パリにあるBIE(博覧会国際事務局)において、木寺駐フランス日本大使からロセルタレスBIE事務局長に立候補表明文書の提出がされ正式立候補、そのあと1年半の誘致活動の結果、大阪万博を勝ち取ったというわけだ。

 今回の万博決定にあたっては、安倍政権の力も非常に大きかった。松井一郎大阪府知事と菅義偉官房長官との強力なパイプを軸に、安倍晋三首相の大号令によって日本政府が動き、これによって、所管官庁の経済産業省はもとより外務省を含めた関連省庁、世界各国の在外公館が協働した。また、政府から経済界への協力要請により、経団連を始めとして関西経済3団体(大阪商工会議所、関西経済(連)、関西経済同友会)が一丸となったことも功を奏した。

 今回の万博の主要テーマは3つ。まずは、Society 5.0に向けた成長戦略を一層加速化させるとともに、途上国を含めた多くの参加国とともにつくることを目指す「SDGsの達成に向けた万博」。続いて、実験的なプロジェクトを推進する仕組みを設けるとともに、国内外の新たな人材を登用するなど、イノベーションの創出に向けた工夫をこらす、いわゆる「未来社会の実験場」とすること。そして、開催地である大阪・関西のみならず、日本各地を訪れる観光客を増大させ「地域経済活性化の起爆剤」にすることだ。しかし、実は、前述の通り、構想当初の開催テーマは「人類の健康・長寿への挑戦」であり、現時点でもそのコンセプトは動いていない。日本の国策でもある「健康長寿社会の実現」が大阪万博開催目標として掲げられることになる。
 世界トップレベルの健康志向と世界一といわれる公衆衛生対策、高度な医療技術に支えられ、世界最高水準の平均寿命を達成した日本は、周知のごとく、25年には団塊世代が75歳以上となり、総人口に占める65歳以上の人口割合が3割に到達という深刻な超高齢社会問題を抱え、生産年齢人口の激減による労働力不足が日本の経済に深刻な影響を与えることは火を見るより明らかだ。

 これらの問題に対し、将来に向けて先進的かつ実践的な手を打っていくことが、日本のみならず、今後、同様に超高齢社会を迎える世界中の国々にとって共通の命題となる。大阪万博の開催を機に、社会保障費の増加抑制・削減につながる「健康づくりに向けた先進的な施策」を、日本・大阪から世界中に発信することが大いに期待されている。

 この施策に最先端の医療や創薬、AIやIoTといった最新IT技術、SDGsに向けた新たなコンセプトなどを融合、さらには金融や保険の領域をも巻き込む動きも見所の1つだ。

(つづく)
【取材・文・構成:継田 治生】

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