在福岡インド総領事館(福岡市博多区)の開設(今年4月)記念イベントとして、9日に福岡市で「INDIAN TECH TALENT」(主催:福岡市)が開催された。

ラムクマール総領事はインドの成長率は6.5%(インド統計・計画実施省、2024年度)と高く、また、毎年約150万人の大卒エンジニアを輩出する一方、日本には優れた労働環境が整っていて両国が相互補完できる条件があるとして、人材協力などビジネスマッチングが進むことへの期待を表明した。
高島市長は開催の狙いについて、英語話者が多くない日本で働くインドのエンジニアと採用する企業双方の話を聞くことで、双方の心理的なハードルを下げることだと語ったほか、インドのITエンジニアを地場企業に紹介する新事業「INDIAN TECH TALENT」を始めると表明した。

元楽天グループ副社長・平井康文氏は、インドはアメリカを相手とし、その最先端の技術などにアジャストしようとしていると評価する。元ソニー勤務でインドに駐在し『インド・シフト』の著作のある武鑓行雄氏も、インドには世界の名だたる大手企業が開発拠点を構えているが、行っているのは単なるサポートではなく、たとえば半導体のチップ開発など中核事業であると語る。スタートアップにもすごさが現れているといい、ユニコーンの数は米中に次ぐ3位で、生成AIなどのディープテックもChatGPTのリリースから数カ月後にはどんどん誕生していったという。
人材に関しても、Google、Microsoft、Adobeなどのグローバル企業のCEOなどに多くのインド出身者がおり、それらの米国拠点においても、多くのインド人材が業務を担っているという。インド人材は主に英語圏を中心に活躍しているが、人口14億人と母体が大きく、日本でもその活用のチャンスはあるとして、武鑓氏は日本企業に対してインターンシップなどをうまく活用すべきと提言した。
在福岡インド総領事館は日本にあるインド公館としては東京、大阪に次ぐ3カ所目。九州はTSMCの熊本進出以降、半導体産業などの集積が進んでおり、インドにとっても重要性が高まっているとして開設された。
【茅野雅弘】