2024年04月25日( 木 )

魚食、市場仲卸文化をどう守るか? 安部泰宏・アキラグループ最高経営責任者に聞く(前)

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 鮮魚仲買を手がける(株)アキラ水産を中心とするアキラグループ。同グループは1918年に明百貨店を創業以来、戦時統制による廃業、小売業から卸売業への転換など紆余曲折を経ながらも、100年を越えて、福岡博多の水産業界、魚食文化を支えてきた。その中心人物が御年80才の安部泰宏・アキラグループ最高経営責任者((株)アキラ水産代表取締役会長・社長)だ。「生涯現役」を貫くこのカリスマ経営者は業界活性化に意欲を示す


 

20年夏の卸売市場法施行に賛否両論

安部泰宏・アキラグループ最高経営責任者・
(株)アキラ水産代表取締役会長・社長

 面談では、安部社長の年齢を感じさせない快活さが強い印象を与えた。「2020年夏には新たな卸売市場法が、施行されます。鮮魚供給に関わる業界環境が大きく変わっていくでしょう」と今後を見通す。

 この法改正では、仲卸業者以外の第三者への販売を可能とするなどの取引ルールの緩和が盛り込まれている。この法改正は、中央卸売市場の活性化を目論んだものだが、市場関係者からは、規制緩和により、「価格形成の公平性・透明性が崩れる可能性があり、消費者へ影響をおよぼす恐れがある」などの懸念の声がある。供給者の多様化が消費者のプラスに働くことを願うが、安易な参入撤退が相次いだ場合、業界や消費者への影響は未知数だ。

 新たな卸売市場法をめぐっては、福岡市中央卸市場開設運営協議会のなかで議論が重ねられている。協議会委員には、福岡市議や市場関係者などが名を連ねている。18年8月の会合では、福岡市サイドから、法改正後の市場開設、運営に関する基本的な考え方が示され、福岡市が引き続き市場の開設者として、卸売、仲卸業者への指導監督などを行い、市場の活性化を実現していく方針が打ち出されている。ただ、「第三者販売の禁止」の緩和などは、全国の各市場が独自に取引ルールを定めることで、現状の規制を維持する道は残されてはいる。福岡市中央卸売市場では、そのような運営が行われる見通しだ。

福岡市中央卸市場開設運営協議会の資料(福岡市HP上議事録より引用)
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(つづく)
【大石 恭正】

(後)

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