2024年04月20日( 土 )

「財政難の北九州市浮揚には、IRしかない」~井上秀作・北九州市議会自民党議員団副団長(1)

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井上秀作・北九州市議会議員・北九州市議会自由民主党議員団副団長

 北九州市のIR(統合型リゾート)誘致をめぐり、中心的な役割を担っているのが、井上秀作・北九州市議だ。前北九州市議会議長で、現在、北九州市議会自由民主党議員団副団長を務めている。2002年の市議初当選以来、カジノ誘致を主張してきた筋金入りだ。九州のIR誘致レースを見ると、長崎県佐世保市がすでに名乗りを上げているが、北九州市の北橋健治市長はいまだ態度を保留している。北橋市長が手を挙げなければ、これまでのIR誘致も画餅に帰す。市議として、自民党市議団として、今後どのような手を打っていくのか。カジノに賭ける思い、これまでの動きなどと合わせ、話を聞いた。

<プロフィール>
井上 秀作(いのうえ・しゅうさく)

 駒沢大学法学部政治学科を卒業後、国際航業(株)に入社。95年、井上勝二北九州市議会議長秘書を経て、2002年2月、北九州市議初当選、以後5期連続当選をはたし、17年2月に北九州市議会議長に就任(19年3月退任)。1969年4月生まれの50才。北九州市小倉北区出身。

非課税のギャンブルは国家の損失だ

 ――井上市議は、市議になったときからカジノ構想を訴えていたそうですね。

 井上 そうです。石原慎太郎・元東京都知事よりも早く、カジノ構想を掲げてきました(笑)。現在はIRということで、さらに進化したカタチで日本に導入されることになっています。

 ――カジノ構想を掲げた理由は?

 井上 当時、日本のパチンコ業界は30兆円産業でしたが、日本政府はギャンブル税を課していませんでした。国家にとって非常な損失だと考えていました。パチンコはセキュリティーのまったくないギャンブルなので、ギャンブル依存症患者が非常に増えました。世界を見れば、145の国がカジノを認めていますが、そのなかでも、日本のギャンブル依存症の患者数は突出して多いんです。なぜかといえば、パチンコは「日常のギャンブル」だからです。街中の到るところにあって、誰でも入ることができます。これが良くないと考えたわけです。ちゃんと税金をとる「非日常のギャンブル」をつくりたいという思いがありました。

 北九州市には、すでに市営の競艇場や競輪場がありますが、競艇場は年間800億円を売り上げています。競艇場の売上げとしては日本一です。この売上があったので、9年前倒しで若戸大橋を無料化できたんです。ギャンブルによる税収があれば、福祉や教育、生活の改善のために使えるんです。

 ――「ギャンブル=悪」ではない?

 井上 そうです。私自身、ブラックジャックを得意とするギャンブラーなんです(笑)。日本人の仲間と一緒に韓国のカジノでプレイしたことがありますが、私だけ勝って、ほかのみんなは負けました(笑)。その時感じたのが、「これだけのお金が海外に流れるのはもったいない」ということでした。「何とか日本に取り戻したい」と強く思いました。

 正式のカジノがない当時の日本には、全国各地に「闇カジノ」がありました。暴力団の資金源となる非合法なカジノで、毎晩多くのお金が動いていました。国家公認のきちんとしたカジノがないから、こういうことになる。市議会でもそれを訴えてきました。周りからは「そんなことを言っていたら、そのうち刺されるよ」と心配されましたが(笑)、言い続けてきたんです。

 ――国が認めたカジノは安全?

 井上 ええ、とくにシンガポールのIRは、セキュリティーがものすごくしっかりしています。シンガポール人がIRに入るためには、8千円の入場料のほか、マイナンバーカードのようなものが必要です。日本のパチンコホールのように、誰でも入れるわけではないんです。カードには過去のゲーム履歴などの情報が全部入っています。本人や家族は、カジノ管理委員会に対して、「カジノに入れないようにしてくれ」と申告することができます。申告が通ったら、その情報がカードに入力されて、その人はカジノ出入り禁止になるんです。

(つづく)
【大石 恭正】

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