• このエントリーをはてなブックマークに追加
2019年06月23日 07:00

人件費高直撃、減益が12社 主要流通企業14社の2~3月期決算(中)

人件費高響く、ダイレックス

人手確保で人件費が高騰

 人件費高は不況知らずの高成長を続けてきた低価格業態も直撃している。

 ダイレックスの前3月期は、21店を出店したことや既存店が1.6%伸びたことで売上高は7.6%増の2,136億円1,700万円だった。一方で、従業員の給与や時給を引き上げたことで人件費が11.5%増と2ケタ台で増加。販管費全体では10.8%増えた。増収効果で吸収できず、営業利益は8.0%減の78億200万円、経常利益は7.9%減の78億7,800万円と、09年サンドラッググループ入りしてから初の減益を計上した。

 今期は25店の出店を計画し、売上高は7.2%増の2,290億円を見込む。人件費の伸び率は8.8%と前期から低下するものの、物流費などの増加で販管費は9.7%増える。粗利益率を17.39%と0.51ポイントの改善を見込み、営業利益は12.8%増の88億円、経常利益13.0%増の89億円、当期純利益16.3%増の59億3,000万円と増益転換を目指す。粗利益の改善は主に医薬品の増販で達成する方針。

 ダイレックスの前期の減益は、潤沢なパート労働力の活用と低コストを武器に業績を拡大してきたこれまでの経営路線が転機を迎えていることを示す。販管費率は17年3月期の12.56%から18年12.85%、19年13.23%と連続して上昇。人件費比率は17年の6.51%から19年には6.71%に高まった。多店舗展開に必要な人手を確保するにはコスト増は避けられず、収益を圧迫することになる。

今期増益転換、ミスターマックスHD

 ミスターマックスHDは0.2%増とわずかだが増収を確保した。出・退店が1店ずつだった。店舗作業の見直しで人員を削減し、販管費をほぼ横ばいに抑えたが、営業外収支の悪化で経常利益は8.6%減った。

 今期の営業収益は0.7%増の1,193億円と微増収の見込み。5月に綾羅木店を閉鎖したのが減収要因になるが、既存店が1.7%増と前期の0.2%増を上回る伸び率を想定している。12月予定で福岡市博多区に出店する。

 営業利益は10.6%増の28億2,000万円、経常利益3.1%増の27億9,000万円と増益を見込むが、理由は開示していない。当期純利益は前期あった災害保険金の受け取りがなくなるため19億3,000万円と14.2%の減益になる。

減収減益8社に

 最も多かったのが減収減益で、イオン九州(株)、(株)ナフコ、(株)タイヨー、マルキョウ、マルミヤストア、イズミ子会社の(株)ゆめマート熊本、(株)ゆめマート北九州と8社だった。ナフコを除くと出店がなかった。

 イオン九州は3.3%減と6期連続減収。販管費を1.7%削減したが、追い付かず経常利益は81.2%減の2億5,900万円に落ち込んだ。

 今期の出店も見送り、既存店強化に注力する。営業収益は1.9%減の2,200億円と後退が続く。経常利益は35.0%増の3億5,000万円と増益見通しだが、利益水準は低い。

 ナフコは既存店が前年割れだった上、出店3に対し閉店6と期末店舗数が2期連続で純減したことで、売上高は1.0%減と2期連続で減少した。人員減などで販管費を減らしたが、粗利益率の悪化もあって経常利益は7.0%減と3期連続の減益になった。

 今期の売上高は0.8%増の2,250億円と3期ぶりの増収を目指す。出店は前期から繰り延べの甘木インター店と鳥取店の新館にとどまる見通し。閉店数は明らかにしていない。増収の根拠として前期までに行った既存店の増床と改装の効果を上げている。

 経常利益は19.2%増の89億7,100万円と急回復を見込む。前期末人員が正社員だけで1年前比で4.8%減っているのが増益要因になる。

1,000億円割る、タイヨー

 タイヨーの営業収益は10.8%減の971億200万円と2ケタ台で落ち込み、1,000億円の大台を割った。18年2月期に2店、前期は3店を閉鎖したことに加え、既存店不振が重なった。

 営業利益は26.8%減の47億6,900万円、経常利益26.6%減の49億5,400万円、当期純利益23.0%減の32億700万円と大幅減だった。販管費を5.7%減らしたものの、追い付かなかった。

 店舗減と既存店不振だけでは大幅減収減益の理由は説明しきれない。(株)トライアルカンパニーやドン・キホーテ、ダイレックスが相次ぎ進出していることも一因に上げられる。タイヨーの店舗は老朽店が多く、出店も過去5年間行っていない。清川和彦代表取締役会長のワンマン経営の下で従業員の出入りが激しい。業績悪化はこうした積もり積もったマイナス要因が表面化したと見る向きは多い。

 経常利益率5.10%と全国の流通企業で最高水準の収益性も今後は次第に低下することが予想される。

(つづく)
【工藤 勝広】

流通メルマガのご案内

 流通メルマガは沖縄を除く九州地区の食品スーパー、ドラッグストア、ディスカウントストアなどの小売業の情報を、土日祝日を除く毎日タイムリーに配信しています。現在、1カ月間に限り、無料で配信させていただきます。無料試読希望者は、下記のメールフォームからお申し込み下さい。
※「流通メルマガ」試読申し込みフォームはコチラ >>

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2021年01月19日 17:39

【福岡県に緊急事態宣言】(11)コロナを舐めてはいけない(2)NEW!

 12月29日に新型コロナウイルスが陽性と診断されたTは1月1日の元旦、身柄を拘束された。ホテルに幽閉となったのである。それから12日まで軟禁状態が続き、ようやく自宅...

2021年01月19日 17:12

【みやき町】関家具と包括連携協定を締結、地域活性化推進へ

 佐賀県みやき町は19日、(株)関家具と包括連携協定の締結調印式を行った。この協定は、包括的な連携のもと、相互の発展と地域活性化の推進を目的としている...

2021年01月19日 16:58

コロナ第三波、菅首相・小池知事の“A級戦犯コンビ”を問いただす

 コロナ第三波の爆発的感染拡大で、お互い責任をなすりつけ合っている菅義偉首相と小池百合子知事の“A級戦犯”ぶりが際立っている...

2021年01月19日 16:42

【佐賀県】佐賀大発「オプティム」がNTT東などと「NTTドローン」設立

 佐賀大学発のコンピューター・ソフト会社「オプティム」、NTT東日本、ドローン販売「ワールドリンク」の3社は18日、埼玉県朝霞市にドローン(無人航空機)を応用して産業...

2021年01月19日 16:20

【福岡県に緊急事態宣言】(10)コロナが触媒になる流通の転換

 多くの小売業はバブル崩壊以降、規模の大小を問わず売上不振に見舞われ、それが今もなお続いている。それに拍車をかけたのが、新型コロナだ。飲食・旅行業界だけでなく、幅広い...

2021年01月19日 15:19

吉塚松崎線、新設区間の無電柱化を検討

 福岡市は、県から「福岡広域都市計画道路事業3.5.1-80号吉塚松崎線」の変更許可を取得した...

2021年01月19日 15:02

JR博多シティの飲食店が期間限定で弁当販売中!

 JR博多シティで“うまかもん”を提供する「くぅてん」「デイトス」「デイトスアネックス」「三百歩横丁」の一部飲食店が、2月5日(金)までの期間限定で弁当を販売している...

2021年01月19日 14:05

中洲の灯は絶えない(2)接待はなくならない〜「ロイヤル・ボックス」ママ・藤堂和子氏

 今回の緊急事態宣言などについて、中洲で50年にわたり経営に携わってきた「ロイヤル・ボックス」の藤堂和子氏に話を聞いた...

2021年01月19日 11:30

2020年休廃業・解散企業数が過去最多の約5万件に

 昨年の休廃業・解散企業数は4万9,698件(前年比14.6%増)と5万件に迫り、調査開始の2000年以降で過去最多となった...

2021年01月19日 11:07

【縄文道通信第58号】縄文道ユートピア論~実現可能な道程 縄文道―武士道―未来道(後)

 それでは国連が2015年に提唱した17カ条を以下に掲げながら、縄文道と比較してみよう...

pagetop