2024年03月28日( 木 )

殺人マンション裁判の顛末~毀損された強度・資産価値を適正な状態に戻せ!(12)

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日本を代表する大手K建設 殺人マンションの顛末

設計や施工における偽装と どう向き合うか?

 ――いくつかの 設計の偽装・施工の偽装についてお話していただきました。ここに挙げられた偽装について調査を進めれば、新たに 欠陥マンションが判明することになるのでしょうか?

 仲盛 当然のことながら、ここで話した設計や施工の偽装は、調査しなければ判明しないことです。私のところにも問い合わせが増えていますので、ケースバイケースで協力していきたいと思っています。
 マンション販売業者やゼネコンが、マンションが違法で耐震強度不足であることを認識しながら無視をするのであれば、将来的に発生する被害に、問答無用に責任がのしかかることを覚悟しなければなりません。
 マンションは 一生に一度の買い物であり、長い期間をかけて住宅ローンを払っていきます。その一生に一度の買い物であるマンションの設計や施工が偽装されていたならば、本来の適正な資産価値と適法性をもったマンションに戻すことをマンション販売業者やゼネコンに要求すべきです。区分所有者には その権利があるのです。

 ――違法性が判明したマンションの区分所有者は 「適法に戻せ!」とマンション販売業者らに要求すべきということですね。

 仲盛 法令規準を満たしていなければマンションの資産価値は本来の価値よりも著しく低いものになります。久留米のマンションでは、設計と施工の偽装が判明して中古マンションとしての売却ができない状況にまで追い込まれました。もっとも、このマンションでは今後、耐震補強が行われるはずなので、資産価値も回復するものと思われます。
 久留米のマンションは、全国のマンション区分所有者に対して 1つの方向性を示したと思います。「違法建築物を適法に是正し、毀損された価値を取り戻す」、区分所有者として要求することは この1点だけです。

 ――マンションの「違法性」と「安全性」が 次元の異なるものであることがわかりました。

 仲盛 たとえば、交差点で赤信号の際に、「左右から車がきていないから安全」だと勝手に判断して信号無視をして進んだ場合、これは道路交通法違反です。「安全だから問題ない」という理屈は通用しません。安全であっても法律違反なのです。
 スピード違反も同じことです。40km/h制限の道路で、ほかの車がいないから安全だと勝手に判断して 80km/hで走行したとすれば、事故は無かったかも知れませんが    交通違反です。
 違法マンションにおいても、違法性のみを追求すべきです。ほかの比重の軽い問題を追及すれば、相手に逃げ道を与えてしまうだけです。

 ――マンションの違法な部分を適法に是正するためには、マンションを補強する必要がありますね。

 仲盛 違法な部分を適法にするためには、共用部分にも専有部分にも手を加えなければなりません。共有部分に手を加えるためには 4分の3以上の同意が必要です。これはかなり高いハードルです、仮にこの高いハードルをクリアできたとしても、今度は専有部分について所有者の同意を得なければなりません。工事期間中は、仮住まいに引っ越すので通勤や通学にも不便をきたします。高齢者は、引越し自体が大きなストレスになります。
 従って、販売業者やゼネコンが 適法に是正する方法を提示してきたとしても、是正工事が限りなく不可能に近いため、残された道は「建替え」しかありません。
 このような状況を想定すれば、マンション販売業者やゼネコンは、マンション管理組合や区分所有者に対して真剣な対応をせざるを得ないと思います。

 ――今後も マンション区分所有者のためにご尽力されることを期待しています。

(了)

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