2024年03月29日( 金 )

定額動画配信サービス市場でNetFlixとディズニーが激突(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 新しく動画配信サービスに参入したディズニーは今後、どのような展開をしていくのだろうか。 ディズニー+は11月12日、 米国とカナダ、 オランダで公式サービスを開始し、初日だけで会員登録者数1,000万人、 ダウンロード回数は320万回を記録した。

 同日、ディズニーの株価が7%上昇した半面、 Netflixの株価は3%下落した。ディズニーは11月の米国を皮切りに、2021年まで北米、ヨーロッパ、アジアなどにサービス地域を広げる予定で、2024年まで最低でも6,000万名~9,000万名の会員を確保する目標を掲げている。

 ディズニーはNetflixのシェアを奪うため、動画配信サービスの利用料金をNetflixより20%安い6.99ドルにしている。ディズニーはピクサー、マーべル、ESPN、ルーカスフィルムを傘下に収めており、18年の売上高は595億ドル、営業利益は149億ドルの世界最大のエンターテインメント企業である。

 前年同期比で、売上高は8.2%、営業利益は8.0%伸びている。さらに、同社は昨年7月にフォックスを713億ドルで買収している。これによって、ディズニーはナショナルジオグラフィックのコンテンツも確保できるようになっただけでなく、「Hulu」の株も60%保有することになった。2019年には同社の『アベンジャーズ/エンドゲーム』『キャプテン・マーベル』『アラジン』『ライオン・キング』『トイ・ストーリー4』が世界中で大ヒットした。同社の世界興行収入は120億ドルとなり、史上最高額を更新している。

 ディズニーの参入により、今後の動画配信市場はどうなっていくのだろうか。モルガン・スタンレーの予測によると、新しい「Disney+」、100%子会社化した「Hulu」、スポーツチャンネルの「ESPN+」の3つを合わせた会員数は、5年以内に米国でNetflixを超えると予測されている。

 ディズニーの強みは飛び抜けたブランド力と、数々のヒット作品を保有していること。それにスポーツチャンネルなどを合わせることで、アメリカではNetflixから王座を奪取するとされている。しかし、海外の場合、米国に比べ、もっと時間がかかると思われる。

 一方、Netflixはすでに世界で1億5,000万人以上の会員を確保しているだけでなく、それに基づいた顧客データベースの活用などで、一日の長があると指摘する専門家もいる。

 現在の王者と、コンテンツ産業の王者との闘いは、熾烈を極めることになるだろう。一方、消費者の立場からすると、利用できるコンテンツが増え、選択の幅が広がるのは悪いことではない。しかし、韓国国内のコンテンツ市場が、まだ形成されていない状況で、資本力とコンテンツの豊富さを武器に海外企業が国内でサービスを展開すると、国内市場が海外企業に侵されてしまうのではないかと懸念されている。また、国内ですでに動画配信サービスを展開している企業にとっては大きな脅威になるだろうと分析されている。

 市場がますます成長すること間違いない動画配信市場において、今後、国内、海外勢の激しい戦いが繰り広げられることになるだろう。

(了)

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