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2020年02月26日 14:07

学びあり笑いあり美食あり~博多織と落語を楽しむ会@東京・半蔵門「福扇華」にて

 東京都千代田区にある福岡県のアンテナレストラン「福岡料理と旬の味 福扇華(ふくおか)」では、福岡県産の食材をふんだんに使用した料理の数々のほか、物販スペースや最大60名を立食で収容できるレセプション会場を兼ね備えており、さまざまな用途で利用できる施設として注目を集めている。

 2月22日、「博多織と落語を楽しむ会」が開催され、およそ30数名が集まった。会では、福岡県が誇る伝統的工芸品の1つ「博多織」の紹介と、福岡県出身の落語家・立川生志(しょうし)氏による「落語会」、福扇華人気メニューの「水たき」が御膳で提供され、参加者の五感を楽しませた。

西村織物六代目当主・西村聡一郎氏が語る博多織の歴史

 博多織の歴史は鎌倉時代、当時の中国・宋へ渡った聖一国師(しょういちこくし)に同行した博多商人・満田弥左衛門(みつだ・やざえもん)が、帰国後の1241年に制作したものが起源とされている。

 博多織の特徴は、たくさんの経糸(たていと)に、細い糸を数本まとめ合わせた太い緯糸(よこいと)を打ち込んでつくられていること。その文様は、京都・西陣織が公家文化のもつ「きらびやか」「華やか」だとすれば、博多織は武家文化のもつ「かっちり」「質実剛健」と例えられる。

 その技法は当初、家伝(一子相伝)とされていたが、江戸時代に入り黒田藩から徳川幕府への献上品として博多織が選ばれるようになると、その技術が一般にも普及。「献上博多」「博多献上」「献上柄」などと呼ばれ、全国にもその名が知れ渡るようになった。

 山陽新幹線・博多駅開通の際には、明太子や博多人形などと並び、福岡・博多の土産物として全国に普及。1976年には国の伝統的工芸品に指定され、日本三大織物の1つとして数えられるようになった。現在では約10軒の織元が活動しているほか、全国的にも珍しく、後継者育成のための技術養成学校(博多織DC)が設けられ、国や福岡県の支援を受けながら後継者育成にも努めている。

 今回の講演では、博多織の持つ質実剛健さに加え、素材の頑丈さも取り上げられた。博多織最古の織元・西村織物の六代目当主・西村聡一郎氏は実物の博多織の帯を参加者に見せながら、「当時の文献にも残っているが、武士が刀で切り合いになった時、着物は切れても博多織の帯は切れなかった」「試しに軽自動車を博多織の帯で引っ張ってみたが、切れなかった」「戦時中にはパラシュートの素材にも使用されたことがある」などといった、頑丈さにまつわるエピソードを紹介。参加者はそれを聞くたび、皆驚きの声を上げていた。

博多織の歴史を紹介する、西村織物の六代目当主・西村聡一郎氏
博多織の歴史を紹介する、西村織物の六代目当主・西村聡一郎氏

師匠譲りの毒舌で参加者を爆笑の渦に、落語立川流所属・立川生志氏による落語会

 西村氏による講演の後、小休憩を挟み、今度は福岡県筑紫野市出身、落語立川流所属の落語家・立川生志(しょうし)氏による「落語会」が行われた。生志氏は1988年7月に7代目立川談志に入門。2008年4月に真打昇進。真打昇進後に始めた独演会「ひとりブタ」シリーズを各地で開催し、国内はもとよりパリ、ミュンヘン、ニューヨーク、ボストンなど、海外でも精力的に活動している。

 今回の演目では、古典落語を二つ披露。噺のマクラでは、かつての談志師匠を彷彿させる毒舌と皮肉を交えながらその時の様子を話し、会場にいる全員を爆笑の渦に包んだ。

最後の締めは福岡県の郷土料理「水たき」を御膳で

 時計の針はこの時すでに午後1時過ぎ。もうそろそろ、いや、もうすでに全員お腹が空いて待ちきれないころだろう。落語会を楽しんだ後はお待ちかね、料理の時間だ。

 さまざまな国と地域の食文化が乱立している東京でも、福岡・博多の食文化は抜きん出ているといえる。ひと昔前と比べて福岡・博多の料理名や看板などを目にする機会が増えたのがその証拠であろう。今回用意されたのは、福岡県の郷土料理「水たき」御膳。鍋料理の一種だが、福岡・博多では年中楽しめる郷土料理として広く知られている。また、農林水産省主催による日本各地の郷土料理を選定した「農山漁村の郷土料理百選」では、がめ煮とともに福岡県の郷土料理として選ばれており、今や福岡・博多を代表する料理の1つと言っても過言ではない。

参加者の前に次々と手際よく運ばれる水たき御膳
参加者の前に次々と手際よく運ばれる水たき御膳

 濃厚な鶏ガラスープは鶏肉や野菜から溶け出す旨味と重なり、深い味わいを織り成していた。記者の右隣に座っていた20代の女性は、「地元が関西なので博多の水たきを食べる機会はなかった。今回初めて食べたが、とても美味しかった」と述べていた。左隣に座っていた40代の男性は、「地元が(福岡県)那珂川市ということもあり、帰省するたびに口にする機会はあったが、東京でもこうして地元の味が楽しめるのは嬉しい」と話していた。

官民一体となって、今後も福岡県の良さを伝え続ける

 会の最後は入口付近で主催者である福岡県や、店舗運営者であるトリゼンダイニングの関係者らが参加者全員を見送った。参加者からは、「美味しかった」「楽しかった」「また来たい」などといった声が聞かれ、終始笑顔が絶えなかった。記者も今回のイベントを楽しめたのはもちろん、福扇華は単に福岡県の魅力を発信する基地としての側面だけでなく、古き良き日本の伝統文化や伝統芸能を多くの人に伝えていく「プロデューサー」としての役割を担っていると感じた。

 開業して1年余り――官民一体となった試みということもあり、まだまだ試行錯誤を続ける福岡県と福扇華の取り組みだが、今回のイベントを通じて参加者のハートをがっちりとつかんだことは間違いないだろう。これからも“福岡県の魅力を発信する基地”としての使命を帯びている福扇華を、情報発信を通じて応援していきたい。

【長谷川 大輔】

【店舗データ】
店名:福岡料理と旬の味 福扇華(ふくおか)
住所:東京都千代田区麹町1-12-1住友不動産ふくおか半蔵門ビル1階
TEL:03-3288-2170
営業時間:平日昼の部 午前11時30分~午後3時(ラストオーダー午後2時)
夜の部 午後5時~午後10時(ラストオーダー午後9時)
定休日:土・日・祝、お盆、年末年始

※土に関してはイベント開催時に限り営業(要確認)

▼関連リンク
福扇華ホームページ
福岡県の魅力を発信する基地として~東京・半蔵門「福岡料理と旬の味 福扇華(ふくおか)」

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