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2020年03月25日 07:00

中国経済新聞に学ぶ~今後「出勤」は不要になる?

 新型コロナウイルスによる肺炎の影響で、テレワークの需要が短期間で爆発的に増加した。百度の注目度指数によると、2月のテレワークの検索指数は前年同期比で491%増加し、前月比で317%増加した。

 「両刃の剣」であるテレワークだが、感染状況が収束してもその拡大は続くのだろうか。そして一定の割合で従来のオフラインでの勤務に代わるスタイルとなるのだろうか。

「加速ボタン」を押すことになったテレワーク

 現在、テレワーク分野では「釘釘」がトップに立ち、「企業微信(WeChat)」がこれを猛追し、「飛書」はやや大きく出遅れているというのが現状だ。

 モバイルビッグデータサービスの「極光」がまとめたビッグデータでは、1月1日から2月21日までの間に、1日当たりのアクティブユーザー数が釘釘は2,610万人から1億5,000万人まで増え、企業微信は562万人が1,374万人に、飛書は7万9,500人が25万人にまで増えた。華為(ファーウェイ)が昨年末に打ち出したオフィスツール「WeLink」は7万6,500人が18万3,000人まで増えた。3月2日にはアップルのアップストアで、釘釘がビジネスアプリケーションのダウンロードランキングで1位になった。

 実際、データ通信量のボーナスが徐々に天井に近づくインターネットの今後にとって、テレワーク製品は大手各社が「TOB」(対企業)マーケットに足を踏み入れるための重要な武器になっている。

 中国銀行証券研究院の銭勁宇アナリストは、「これからは企業の協同オフィスワークのクラウト環境をめぐる競争がますます激しくなり、市場の規模も成長を続けるとみられ、企業の協同オフィスワークは急速発展期に入ると期待される」と述べた。

 コンサルティング機関のフロスト&サリバンは、2022年に中国のウェブ会議市場の規模が445億7,000万元(約6,862億円)に達すると予想する。データ分析機関の艾媒諮詢(iiMediaResearch)によると、2020年春の業務再開期間中、中国の企業1,800万社以上がオンラインのテレワークモデルを採用し、すでに3億人を超えるユーザーがテレワークのアプリを使用しているとした。

 天風証券の唐海清アナリストは、「今回の感染症の影響は短期的に特定分野の発展を促したというだけでなく、ユーザーが新たな習慣を育てる非常に良いチャンスを迎えたという点にも表れており、市場は感染症が産業に与える長期的な影響を重視すべきだ。中国国内のSaaS業界はこれまで常に市場からソフトウェアに費用を支払うことへの意識が低く、米国のように成熟したビジネス環境が整っておらず、業界全体の発展ペースは相対的に鈍いという厳しい指摘を受け続けてきた。しかし今では大手各社がこぞって無料体験を打ち出し、SaaS型ソフトウェアのダウンロード件数もユーザー登録数も急速に増加しており、今後は有料ユーザーに転換する人が増えて、産業の発展も加速される見込みだ」と述べた。

普及には時間が必要

 艾媒諮詢の創業者で最高経営責任者(CEO)の張毅氏は、「目下、ますます厳しくなる競争環境に直面し、人件費は上昇を続け、効率向上とコスト低下を追求している企業にとって、テレワークは企業のニーズにある程度応えることができる。中国はテレワークの普及率が相対的に低いので、企業における連携の前にはなおブルーオーシャンが広がり、大きな発展のチャンスに直面している」と述べた。

 張氏は続けて、「しかし今回のテレワークは偶然の産物であり、状況に迫られて拡大したのであり、多くの企業や社員にとっては感染症の影響のなかでのやむを得ない選択であり、市場が進化した結果ではない。多くの業界がオンラインでコミュニケーションや連携をはかることが可能だが、数多くの契約や取り引きは最終的にやはりオフラインで実行するようになっている。これがテレワークのソフトウェアにはまだ変えることのできない現実だ」と述べた。

 艾媒諮詢のまとめた調査データをみると、ユーザーの60%以上が「テレワークの優位性は勤務場所を柔軟に自由に選べるところ」との見方を示し、50%以上が「テレワークは通勤時間や関連の費用を節約している」とし、40%以上が「テレワークはソフト頼みで、ハード環境の影響を受けやすい」とし、40%近くが「テレワークはコミュニケーションや連携に影響を与える」と答えた。働く人々がこの春のテレワーク期間に使用するコミュニケーションツールのうち、上位3位は微信、電話、QQとなっており、その使用率は順に84%、46%、36%となっている。

 上海交通大学中国発展研究院の陸銘執行院長は、「テレワークにはインタラクティブ性の低さや社交的交流の意義を失わせるといった欠点があり、予見可能な未来には、オフラインでのオフィスワークがテレワークに完全に取って代わられることはない」との見方を示した。

 平安証券の閻磊アナリストは、「テレワーク市場は短期間で火が付いたが、『オンライン生態系』を構築するにはまだしばらく時間がかかる。感染症が徐々に収束するにつれ、テレワークヘの意欲は目に見えて低下ずると予想され、テレワーク業界はどうやってユーザーを確保していくかという問題を考えなければならなくなる。中でもデータのセキュリティ、ユーザーの習慣の維持などは重要なハードルであり、飛躍を遂げるには長期的な検証作業が必要だ」と述べた。


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