建築内製化、M&A、東京進出　売上倍増を見込むGLCの戦略とは（前）

（株）グッドライフカンパニー　代表取締役社長　高村  隼人　氏

マンション建築を内製化

　――2019年4月に、子会社として（株）グッドライフ建設を設立しましたが、狙いは何でしょうか。

　高村隼人氏（以下、高村）　一番の狙いは内製化です。当社ではこれまでも自社で建築工事も手がけていたのですが、たとえば10棟建てるとすると、そのうち2～3棟が自社施工で、残りは他社の施工でした。つまり、その分、機会損失があったわけです。加えて、今や建設会社も仕事を選ぶようになりました。どこが請けてくれるかわからず、建築費の見積もりを確定できないことには、オーナーさまに対しての投資利回りを最初にフィックスできません。そうしたこともあり、完全自社施工へと舵を切ったわけです。

　――グッドライフ建設では、他社からの仕事も受注するのでしょうか。
　高村　いえ、本体からの発注工事しか行いません。そうすることで、グッドライフ建設には営業経費や広告費もかかりませんので、薄利でも構わないのです。その分を、土地代に上乗せして、仕入件数や棟数を増やすことで、結果として仕入コストを下げて、オーナーさまへの投資利回りに還元し、最終的には全体としての粗利を増やしていく―というのが狙いです。

ローカル人材先行スキーム

　――今年1月には、業界特化型の有料職業紹介事業をM&Aで取得しました。
　高村　昨今、建築業界における人材不足が深刻な問題となっています。M&Aにより子会社化したプロキャリアエージェント（PCA）は、「ヒトの熱で、リアルな業界を熱狂させる」という経営理念を掲げていますが、有料職業紹介事業に特化するとともに専門性を高めることで、業界での人材不足解消に寄与していこうというものです。私は、「人材のインフラをつくった」とよく言っているのですが、求職者と企業とのマッチングだけでなく、当社のビジネスモデルを加速させる“アクセラレーター”の役割も期待しています。

　たとえば、福岡で凄腕の営業マンが仙台に行ったときに、福岡と同じように土地の仕入や業者とのやり取りを円滑に行えるかといえば、そうではありません。不動産というのは結構ローカルな商売で、その土地の詳しい周辺事情はローカルな人にしかわかりませんし、地元の業者とのつながりなども、他所から行ってすぐにできるものでもありません。今の時代に“人が”というとナンセンスかもしれませんが、PCAを通じてそのエリアの“土地勘”や“相場観”がある営業マンを先に採用し、本体のノウハウを注入したうえで土地の仕入ができれば、次に建築部隊や管理部隊を送り込んでいくというような、“PCA先行型スキーム”の確立にもつながるのではないかと考えています。

　――今年3月には、投資家向けの収益物件・セミナー情報サービス「収益物件.com」アプリおよびコンテンツを取得されましたが、こちらについては？
　高村　「収益物件.com」は不動産投資初心者のための収益物件・セミナー情報サービスで、不動産投資を真剣に考えている方に向けて、正しい知識や投資判断に寄与する正確な情報を提供していくものです。ただし、このサイトはさまざまな可能性を秘めていると思っており、もしかしたら、すごく壮大な活用法になるかもしれませんし、ピンポイントな物件紹介などのローカルな活用もできるかもしれません。サービスの提供開始は今期中を予定しており、詳細に内容を詰め、優良なサイトとして育てていくことになります。私のなかでは、先ほどの建設やPCAも含めて、すべてがリンクしてくるようなイメージはあります。

（つづく）
【坂田　憲治】

＜プロフィール＞
高村  隼人（たかむら・はやと）
1979年9月生まれ。2008年6月に（株）水前寺不動産を設立し、代表取締役に就任。10年11月に（株）熊本不動産、14年12月に（株）グッドライフカンパニーへと社名を変更し、17年11月に本社を福岡市に移転。18年12月に東京証券取引所JASDAQ市場へ上場。

＜Company Information＞
代　表：高村　隼人
所在地：福岡市博多区博多駅前2-17-8
設　立：2008年6月
資本金：3億2,322万円
売上高：（19/12連結）45億6,837万円
U R L：https://www.goodlife-c.co.jp