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2020年05月01日 10:00

新型コロナ感染拡大の裏で進むより深刻な脅威の数々(2) 未来トレンド分析シリーズ 

国際未来科学研究所代表 浜田 和幸 氏

 新型コロナウイルスが世界を席捲し、世界最大の経済大国アメリカも危機の瀬戸際に追い込まれている。だがコロナウイルス一色に染まっているニュースの陰で、より大きくかつ深刻な問題も起こっている。複眼的な問題意識をもって見なければ、足元をすくわれることになるだろう。危機が顕在化する一歩前に回避策を講じることが、何よりも欠かせない。

裏側でコロナビジネス利権をもくろむトランプ大統領

 とはいえ、「転んでもただは起きぬ」のが破産倒産を何度も潜り抜けたトランプ氏である。今回も、非常事態宣言を発した裏側で、しっかりとファミリー・ビジネスのチャンスを手にしようと動いている。何かといえば、新型コロナウイルス対策のワクチンと特効薬の開発である。潤沢な政府資金を娘婿のジャレッド・クシュナー氏の関係する製薬会社に流し込もうという算段に他ならない。

 特効薬をめぐっては、中国企業はいうにおよばず、ドイツや日本の製薬メーカーもしのぎを削っている。もちろん、アメリカ企業も例外ではない。そんな中、トランプ大統領はCOVID-19対策チームを立ち上げ、ペンス副大統領を責任者に指名した。しかし、それとは別にクシュナー氏をトップとする「シャドー対策本部」の設置も認めたのである。クシュナー氏いわく「緊急時には政府機関や役人では対応が遅い。民間のエキスパートを集めて、早急な感染防止策を打ち出す」。

 その結果、現場では混乱が生じている。ペンス副大統領からの指示を優先すべきか、それとも大統領の娘婿で大統領の上級顧問を務めるクシュナー氏のいうことを優先すべきか。大方の反応は、もちろんクシュナー氏である。いつでも、どこでもトランプ大統領に口を利けるのは娘婿の強みであり、そのことはホワイトハウス内で知らない者はいないからだ。

 すでにクシュナー氏の肝いりで、身内の関係する製薬会社「オスカー・ヘルス」では新薬の試験を始めた。その上、診察を希望する人たちを最寄りの医療機関に紹介するアプリの開発も進めている。こうした開発に係わる経費は全額、国の緊急予備費で賄うという算段に他ならない。

 しかも、クシュナー氏の弟の義理の父親は内科医であるが、自らのフェイスブックを通じて「自分はホワイトハウスに強力なコネがある。今回のパンデミックに関連して、何か治療法や予防法について提案があれば言ってきてほしい」とPR活動に忙しいようだ。どう考えても、多くの人命が危機的状況に晒されている時の最高指導者やその親族が取るべき行動とは考えられない。

 過去にも数々のワクチンが開発され、市場に投入されたが、副作用で想定外に人命が失われるケースも頻発している。きちんとした動物実験や治験を経ていない急ごしらえの「利益優先」の特効薬ほど危険なものはないだろう。アメリカ政府も「発生原因が特定できない」と認定しているわけで、「ほかの病原菌に効果があった」との理由で試験的に投与されている試薬も多いといわれるが、その効果のほどには慎重な見極めが求められる。

 一方、発生源と見られる中国では武漢市や湖北省を封鎖することで感染拡大の勢いを抑えつつあるようだが、国民の間では不安感は払しょくされないままである。世界の製造工場となっている中国での爆発的な感染はさまざまな部門で製造停止を余儀なくさせ、日本はもとより世界にとってサプライチェーンの寸断という物流面での危機的状況をもたらした。

 トヨタ自動車(株)や日産自動車(株)など大手自動車メーカーを筆頭に部品の供給がストップし、生産縮小という事態に直面することになっている。マスクや抗生物質なども、ほぼ8割を中国から輸入しているのが日本である。こうした中国への過度の依存を見直す動きも出てきたが、「時すでに遅し」という感も否めない。

(つづく)

<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ・かずゆき)

 国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。最新刊は19年10月に出版された『未来の大国:2030年、世界地図が塗り替わる』(祥伝社新書)。2100年までの未来年表も組み込まれており、大きな話題となっている。

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