2024年04月18日( 木 )

地銀の経営統合~「待ったなし」を検証する  (中)

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【表1】を見ていただきたい。バブル崩壊で経営破綻した地方銀行の推移表である。
~この表から見えるもの~
◆バブルは1986年12月(昭和61年)から1991年2月(平成3年)まで51カ月間続いたが、バブル崩壊を受けて企業の業績は悪化。とくに不動産融資を積極的に取り組んだ地方銀行は、地価の下落によって不良債権の山を築くことになった。バブル崩壊により破綻した地方銀行は12行。兵庫銀行を含めすべてが経営基盤の弱い第ニ地銀だった。第一地銀では破綻行はなく、足利銀行だけが「特別危機管理銀行」の指定を受けた。
◆1995(平成7)年8月30日、第ニ地銀の兵庫銀行(兵庫県)が破綻し、戦後初めて破綻した銀行となる。新設のみどり銀行 (現・みなと銀行)に営業を譲渡している。
・1996年に破綻した銀行は2行。太平洋銀行(東京都)は、1996(平成8)年3月29日に経営破綻。新設のわかしお銀行(現・三井住友銀行)に営業を譲渡。同年11月21日、阪和銀行(和歌山県)が破綻。紀伊預金管理銀行に払い戻し分の預金などを譲渡。
・1997年に破綻した銀行は、京都共栄銀行(京都府)と徳陽シティ銀行(宮城県)の2行。
・1999年に破綻した銀行は5行。内訳は国民銀行(東京都)、幸福銀行(大阪府)、東京相和銀行(東京都)、なみはや銀行(大阪府)、新潟中央銀行(新潟県)。新潟中銀を除き破綻した銀行は、都銀の本支店と競合する東京・大阪の地銀だった。
・2000年を迎えた後に破綻した地銀は2行。2001年12月28日、石川銀行(石川県)。2002年3月8日、中部銀行(静岡県)。最後の銀行破綻から18年余り新たな破綻は発生していない。金融庁の指導による救済合併などで、未然に防止されているのが実態のようだ。

【表2】を見ていただきたい。「特別危機管理銀行」に指定された足利銀行の推移表である。
~この表から見えるもの~
◆第一地銀で破綻した地銀はない。ただ、足利銀行1行だけが2003年11月29日国有化され、「特別危機管理銀行」に指定された。その後再建を進め、足利HDが預金保険機構から足利銀行の全株式(1,200億円)を取得。足利HDが増資(1,600億円)を引き受け特別危機管理が終了。足利銀行は2008年7月1日に再民営化した。
◆2016年10月1日、足利HDは茨城県を地盤とする常陽銀行と経営統合。足利HDはめぶきFG(東京都中央区)となり、足利銀行と常陽銀行を傘下行としている。

<まとめ>
 今年2月から新型コロナウイルスの感染拡大が地域経済に大きな影響を与えている。地銀の2021年3月期の決算は厳しい状況が予想されている。今こそ、バブル崩壊による地銀倒産の轍を踏むことなく、経営統合を進めていくことが求められているのではないだろうか。

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(つづく)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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