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2020年10月14日 16:16

朝鮮戦争―日本の民主主義の変節、自由主義の崩壊の原点!(3)

 第38回「世界友愛フォーラム」が9月24日、「鳩山会館」(東京都文京区)において開催された。(一財)東アジア共同体研究所理事・所長(元外務省国際情報局長)の孫崎享氏(『朝鮮戦争の正体』著者)が「朝鮮戦争―なぜ起こったか、日本政治への影響―」と題して講演を行った。
 70年前の朝鮮戦争の正体を今になって振り返ってみると、私たちが直面している「憲法の形骸化」「民主主義の変節」「自由主義の崩壊」「軍事大国に邁進するアメリカ」「アメリカに隷属する日本」という複雑に絡み合った糸がまるで嘘のように解きほぐされる。

本論:論点2.「警察予備隊がつくられた目的とは」

国会は何らの審議する権限をもたない

孫崎 享 氏

 朝鮮戦争勃発とともに、GHQ最高司令官のマッカーサー氏によって自衛隊の前身となる「警察予備隊」()が1950年8月10日に創設されました。マッカーサー氏が当時の吉田茂首相に宛てて、警察予備隊の設立を促した書簡(7月8日付)を見ると「私は7万5,000名の国家警察の予備員を設立する権限を認める」となっています。しかし、国立公文書館保管書類の邦訳からは「なぜそれが必要なのか」という理由がよくわかりません(意図的に曖昧にした可能性あり)。マッカーサー氏が7月8日に吉田首相に警察予備隊の設立を指示し、8月10日に警察予備隊令(政令)が出るまでの短い期間に、米国内では、冷戦の従属的パートナーとして、「日本人をいかに戦争に参加させるか(日本の軍事力を朝鮮半島で使うこと)」を論議しています。

 日本の「民主主義」の根幹にして最大の権威は「国会」です(「国会は国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」憲法第41条)。しかし、警察予備隊は「法律」ではなく「政令」に基づきつくられました。

 当時の朝日新聞(50年7月13日付)では、社会党の浅沼委員長と国民民主党苫米地最高委員長が(GHQ)ウィリアムス民政局国会担当課長と会った際、ウィリアムス課長は「警察予備隊創設に関する一切の事柄は政令によってなされる。この件に関する限り、国会は何らの審議する権限はもたない。この政令に反対することは、最高司令官命令に反するものとみなされる」と語った、と報道しています。

 一方、警察予備隊の中心で働いた人々、後藤田正晴氏(警察予備隊警備課長、後に内閣官房長官)、内海倫氏(警察予備隊教養課長、後に防衛事務次官)、加藤陽三氏(警察予備隊人事局長、後に防衛事務次官)らは、警察予備隊が朝鮮戦争にもっていかれることを懸念していました。

 (「アメリカの本当の狙いは何だったと思われますか」との質問に答えて)「部隊の性格は米軍のあとを埋めての警察の支援部隊としての警察予備隊ですが、指令が内閣を経て私のところ(注:警察予備隊警備課長)に回ってきたんです。私は編成担当ですから編成表を見た。その時私は、これはアメリカの歩兵師団そのものだな、とすぐわかった。

(中略)

その中に冷凍中隊というのがある。これはわからなかったんです。何かと思って聞いてみたら、戦死者の内臓を取って冷凍して本国に送るんですね。火葬しない。文字通り、これは野戦に連れていく予定ですよ。それで僕らも最初から、マッカーサーは、朝鮮で手こずっているから、俺らをまた連れて行くんじゃないか、と思ったんですよ」

(『情と理―後藤田正晴回顧録<上>』後藤田正晴著、講談社、1998年)

(つづく)

【金木 亮憲】

※:朝鮮戦争の始まった1950年に日本の警察力の増強を目的に、ポツダム政令によって設けられた機関。52年に保安隊に改編、1954年に自衛隊となる。 ^


<INFORMATION>

(一財) 東アジア共同体研究所
 東アジア共同体研究所は、鳩山友紀夫内閣時代に国家目標の柱の1つに掲げられた「東アジア共同体の創造」を目的とするシンクタンク。2013年3月15日に発足。理事長・鳩山友紀夫(第93代内閣総理大臣)の下、理事・所長の孫崎享氏(元外務省国際情報局長)、理事の橋本大二郎氏(元高知県知事)、理事の高野孟氏(ジャーナリスト)、理事の茂木健一郎氏(脳科学者)を中心に、プロジェクト形式で研究活動を行っている。


世界友愛フォーラム
 アジア共同体研究所の事業の一環として、東アジアのみならず、広く世界の平和と共生を「友愛」の理念に基づいて推進していくための自由な議論や交流の場。これまでに、「東アジア共同体構想」や「東アジアの安全保障」「東アジアと沖縄」をテーマに勉強会やシンポジウムを開催、参加者は講師との意見交換など活発に議論を交わし、「世界の平和と共生」への理解を深めている。

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