2024年04月20日( 土 )

日本のメガバンクにおけるみずほ銀行グループの「駄目さ加減」研究(前)

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国際金融ジャーナリスト 桐生 直行

 (株)みずほフィナンシャルグループがほかのメガバンクになぜ劣後し、これほど脆弱な組織になってしまったのかを見つめ、さらにグローバル金融市場での競争に直面する「メガバンク」と呼ばれる企業集団の将来について、予測したい。

3メガ銀の収益力で最下位に甘んじる「みずほFG」

 2020年10月6日、みずほフィナンシャルグループ(以下、みずほFG)の坂井辰史社長が週休3日制、4日制の導入と、週休3日であれば給与は従来の週休2日の8割、週休4日であれば6割に減額する制度を導入すると発表したことは、記憶に新しい。

 みずほFGの広報担当者は、「あくまで本人の希望に基づくものであり、会社側から週休3日制・4日制を指示することはできないため、リストラには当たらない」と強調するが、事実上のリストラ策と見る関係者も多い。

 みずほFGが抱える問題を整理してみたい。

 (株)第一勧業銀行、(株)富士銀行、(株)日本興業銀行3行の経営統合が1999年8月20日に発表され、共同持株会社「(株)みずほホールディングス(以下、みずほHD)」が2000年9月に正式発足した。02年4月1日には3行が合併・分割されて、(株)みずほ銀行、(株)みずほコーポレート銀行が発足した。

 この3行は合併当時、いずれも1兆円を超える不良債権を抱え、3行のなかで際立った強者がいなかったことから、「弱者連合」と呼ばれた。このため、融和型合併とならざるを得ず、合併の最大のメリットである強者への経営資源の集中、経営の効率化は後回しとなった。当初は、大企業の取引をみずほコーポレート銀行に統合し、中小企業や個人客のリテール取引をみずほ銀行に集約し、統合された3行の行員は、適性によりこの新設2行に配分するはずであった。しかし、日本興業銀行はみずほコーポレート銀行に、第一勧業銀行はみずほ銀行に、富士銀行は親会社のみずほHDに愛着をもち、結果として人材配置が偏ることとなった。

 一方、遅れて誕生した(株)三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、三菱UFJ・FG)、(株)三井住友フィナンシャルグループ(以下、三井住友FG)は事実上、それぞれ(株)三菱銀行、(株)住友銀行主導の経営統合だ。そのため、合併は融和型とならず、強者への経営資源の集中、経営の効率化がみずほFGに比べて強力に進められた。

 その結果、3メガ銀の収益力では、みずほFGが最下位に甘んじている。みずほFGの非効率の象徴であったみずほ銀行とみずほコーポレート銀行の2バンク制の解消は、13年7月まで待たなければならなかった。02年4月から2バンク制が解消されるまでの約11年が、結果として、3メガ銀のなかでみずほFGの競争力を損なうこととなった。

2020年3月期 メガバンク主要係数比較
2020年3月期 メガバンク主要係数比較

 (注)メガバンク間の利益獲得競争では、三菱UFJ・FGと三井住友GFが首位を争い、みずほFGは万年3位に甘んじている。

(つづく)

(中)

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