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2021年01月27日 14:05

緊急事態宣言下の首都圏、“路頭”に迷いつつある営業マンら〜耐えることしかできないのか

 「前回の緊急事態宣言時とは違い、外回りの営業をしています。しかし、アポはほとんど取れず、売上は既存客との電話による商談のみです。会える人はごく僅かですが、それでも可能性があるならと外回りをしています」と、東京駅を歩いていた不動産販売の営業職の30代男性は自信がなさそうに答えた。

 前回の緊急事態宣言時には、完全に在宅勤務だったが、会社の売上が激減したため、2度目の緊急事態宣言ということで、外回り営業は「自己判断」になったという。自己判断と言っても、数字が上がらなければ外回りをせざるを得ない空気が会社にはあるようだ。

2度目の宣言下、“路頭”に迷いつつある営業マンら

 2度目の緊急事態宣言が1月8日に行われてから、飲食店の時短営業もあり、午後8時以降の首都圏の人手は目に見えて少なくなった。歌舞伎町、銀座、五反田など“夜の繁華街”には、以前の面影がまったく見られない。新型コロナウイルスの新規感染者数が大幅に減少し続けているのも納得できるほどに人が少なく、飲食店の閉店による消灯で「眠らない街・東京」は完全に過去のものとなった。

 一方で、昼間のビジネス街で人の流れが完全に途切れることは少ない。新型コロナウイルスの新規感染者が東京で初めて確認された2020年1月15日から、1年が過ぎた。これまでの2度の緊急事態宣言やクラスターの発生などを受けて、各企業はリモートワーク・テレワークへの移行を進めてきた。1度目の緊急事態宣言下では、出勤ラッシュ時である午前8時30分頃の新橋駅のSL広場では、まったくと言っていいほど人が見当たらなかった

1回目の緊急事態宣言下の午前8時半頃の新橋駅、SL広場の様子
1回目の緊急事態宣言下の午前8時半頃の新橋駅、SL広場の様子

 しかし、2度目の緊急事態宣言下では、前回に比べて感染者数がケタ違いに多いにもかかわらず、人々の往来があり時間帯によっては電車もほぼ満員だ。コロナ以前に比べると圧倒的に少ないが、最初の宣言時よりは明らかに人出が増えている。

 もちろん、すべての仕事をテレワークやリモートワークに移行できるわけではない。なかには出勤しなければならない事業があり、出勤を必要としている人がおり、「今は自粛すべきだ」と自粛警察のように出勤を非難するのは筋違いだ。国や東京都などの自治体による補助金があるとはいえ、企業は売上を維持しなければ事業を持続できず、それまで売上を支えてきた営業マンへの負担は大きい。

2回目の緊急事態宣言下の午前8時半頃の新橋駅、SL広場の様子
2回目の緊急事態宣言下の午前8時半頃の新橋駅、SL広場の様子

 今回、新橋、大門、日本橋、東京駅周辺で30人に聞き込みを行ったところ、彼らの多くは文字通り“路頭”に迷っている様子が見受けられた。その一部を以下に紹介する。

 「対面営業、飛び込み営業が難しくなり、新規顧客の開拓が今まで以上に困難となっている」(広告代理店勤務20代後半男性、新橋)

 「飲み会でのコミュニケーションをとることができず、既存顧客の減少が始まっている。今は耐えるしかない。会うことができる人をとりあえず、探して回っている」(住宅器具卸販売30代男性、日本橋)

 「アポがないが、会社にはいられないから外で電話をしている。1日中、喫茶店にいることもある」(サービス業40代前半男性、大門)

 「オンライン営業をすればいいといわれるが、オンライン営業を受ける側の体勢が整っていない気がする」(営業 20代女性:東京駅)

 今回の取材でもっとも多かったのは、新規顧客の開拓が難しいという意見だった。飛び込み営業や既存顧客からの紹介、異業種交流会への参加など、これまでの主な営業ツールが利用できなくなったことが大きな要因だ。

 一方で、今までと変わらない営業マンもいた。主に既存顧客へのルート営業やIT業界で働く営業マンだ。通信機器の卸販売、ECサイト・アプリ開発など、リモートワークの推奨で特需が生まれている事業者はとくに業績が伸びており、営業マンも忙しいようだ。

 当然ながら、すべての業種が影響を受けているとは言えないが、多くの営業マンが四苦八苦している。大手企業はコロナ禍でリモートワーク、在宅業務に移行し、なかには自社ビルの売却に向けて動いている企業もあり、今後も「訪問ができない」状況が増すと予見されている。もしコロナ禍が収束しても、働き方は元には戻らないとも言われているが、それでも戻ると信じて待つしかない営業マンは多い。

 日本橋の喫煙所にいた50代男性は「緊急事態宣言下であることは承知しているが、生活のために営業しなければならない。しかし、(コロナ禍で)営業先を回ることができない。仕方ないといえばそれまでだが」と先行きを懸念する声を漏らす。緊急事態宣言下の首都圏では、生活や仕事の事情に追い込まれ、路頭に迷う営業マンが増えつつあるのではないだろうか。

【麓 由哉】

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