2024年04月24日( 水 )

マッコリブームが再び到来(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

マッコリの最新動向

 最近になってマッコリメーカーはこのような状況に危機感を感じるようになり、マッコリの再生のためにさまざまな努力を重ねてきた。韓国政府も自国を代表する伝統酒であるマッコリを世界に普及させるため、いろいろな支援策を打ち出した。それが功を奏したのか、マッコリは再び顧客層を広げている。

 まず、原材料の米について以前は輸入米や備蓄米が使用されていたが、現在は地元で生産された米が使われるようになり、品質が向上した。加えて、食餌繊維や乳酸菌を添加したいろいろなマッコリが開発され、商品の種類が増えたことにより、消費者の選択の幅が広がり、自身の嗜好に基づいて選べるようになった。業界筋によると、全国に800以上の醸造施設があり、1,000種類以上のマッコリが生産されているという。

 マッコリを楽しむ層が広くなり、以前は焼酎やビールを飲んでいた20代や30代がマッコリを飲むようになったことは大きな変化だ。一般的なマッコリの価格は1本1,000ウォン前後であるが、3万ウォン以上のプレミアムマッコリの人気も出ている。地平(ジピョン)酒造社が出荷するアルコール度数を5度に下げたマッコリは、前年比で50%以上売上高を伸ばし、年間累積販売量は1,800万本を記録した。

 また、マッコリの販売が拡大した要因の1つとして2017年に許可されたネットショップでの販売に触れなければならない。ほかにも、海外のワイン生産地の訪問、試飲ツアー同様に、マッコリ酒造施設の訪問、試飲ツアーが大きな人気を集めている。このような要因が合わさって、消費が再び増加している。

 最後に、韓国のあるマッコリメーカーについて紹介する。(株)ダハイムというメーカーが手づくりマッコリを発売し、話題となっている。この製品は粉末状で17種類の穀物と酵素が入っている。マッコリの伝統的な味を再現できたことで、注目を集めている。商品が粉末であり、賞味期限が1年以上であるため、流通しやすい。消費者は粉末を購入し、その後自宅で容器に粉末と水を入れて強く振り、24時間置いておくだけで、手づくりマッコリが完成する。同製品には人工甘味料などの食品添加剤が一切入っておらず、二日酔いの心配もしなくてもよい。

 商品者の健康と製品の品質を最優先した同製品には1gあたり4億7千の乳酸菌が含まれており、健康的である点も魅力的だ。新型コロナウイルスの感染拡大の防止のために外出を控えている時期には、オンラインで商品を注文し、自宅でマッコリを手づくりして楽しむのもよい。マッコリは通常は約1週間しか店頭で販売できないが、同社製品はマッコリを自宅で手づくりしてからでも約1カ月は楽しめるという。同社は日本での販売も計画しており、間もなく日本でも手づくりマッコリを堪能できるようになるだろう。

(了)

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